ロバート・クビサ、10億円強の資金持ち込みによって既にウィリアムズと2年契約を締結か?
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NBCをはじめとする複数の情報筋は、ウィリアムズF1チームとロバート・クビサ(32歳)との間では既に契約が交わされており、同チームの来季レギュラードライバーはクビサとランス・ストロールのベテラン・若手コンビになると考えている。伝えられる契約期間は2年。
チームのスポークスマンは「クビサとの交渉は続いているものの、ラインナップはまだ決定していない。アブダビで何かを発表する予定はない」とこれを否定しているが、報道は途絶えることなく勢いを増しており、クビサ以外の名前に目立った動きは見られない。
2016年のF1ワールドチャンピオンにしてクビサの幼少期からの友人であるニコ・ロズベルグがマネジメント入りして以降、クビサのシート獲得が確実との見方が広がりを見せている。ウィリアムズは来年2つのスポンサーとの契約満了を迎えるが、900万ドル(日本円にして10億円強)とも言われる資金の持ち込みによって、クビサはシート争いで立場を大きく強化したと伝えられている。
英オートスポーツは、今週末の最終アブダビGPでクビサがステアリングを握る可能性に言及も、フェリペ・マッサに代わってクビサがヤス・マリーナを走るためには、100万ドル(日本円にして1億1200万円)が必要と指摘。チームはマッサとストロールのコメントを掲載したプレスリリースを既に配信済みであり、クビサがウィリアムズを走らせるのはシーズン後のアブダビ・タイヤテストになる見通しだ。
かつてウィリアムズでF1を戦ったファン・パブロ・モントーヤは、クビサが今のF1マシンを全開走行させるのは不可能と考えており、復帰の噂に疑問を呈している。また、いつの間にやらF1の辛口ご意見番となった感のある97年のF1王者ジャック・ヴィルヌーブもモントーヤの意見に同意している。だが、二人のドライバーの予想とは裏腹に、あらゆる状況はクビサの復帰を後押ししており、その可能性を強固なものにしつつある。
ハンガロリンクとシルバーストンで行われた復帰評価のためのテストでは、ラップタイム等の詳細は公表されていないものの、各種状況はクビサの身体上の問題は深刻ではなく、またドライビング能力も充分であると示している。能力自体に問題がなく、かつ資金の流入も見込めるのであれば、サー・フランクのチームがクビサを起用しない理由は見当たらない。
かつて将来のF1チャンピオン候補筆頭に数えられていたクビサのF1復帰は、このスポーツにおけるトップニュースであり、メディアは年間を通して小規模チームのウィリアムズに注目し続けるだろう。チームの広告価値は上昇し、さらなるスポンサー獲得も見込める。クビサが金・技・体(きん・ぎ・たい)の3種の神器を揃えたとするならば、噂が現実となるのは時間の問題といえる。
唯一気になるのはFIA国際自動車連盟の動向だ。クビサは九死に一生を得たカート競技の事故によって右半身に障害が残っている。仮にこの身体的な問題がグランプリ中に大きな事故を引き起こす事にでもなれば、クビサはもちろん他のドライバーをも危険に晒しかねない。クビサが事故を起こさなかったとしても、これが原因で他のドライバーのクラッシュに巻き込まれかねない場面もあるかもしれない。無論フィジカルチェックに合格しなければレース出場は叶わないが、許可後に何か問題が発生すれば同連盟は責任追及に晒されることになる。FIAが潜在的な責任リスクをどのように評価するのかは、隠れた懸念点となろう。