F1カナダの代役候補2名「無分別に攻撃的」なオコンの事故を経てアルピーヌの決断に集まる注目
「無分別に攻撃的」なドライビングを巡り、エステバン・オコンが次戦カナダGPを欠場する可能性が指摘されている。代わってA524のステアリングを握るのは誰か? アルピーヌの決断に注目が集まっている。
オコンはF1第8戦モナコGPのオープニングラップで僚友ピエール・ガスリーをオーバーテイクしようとして接触。幸いにもガスリーはレースを続行して10位でフィニッシュし、今季初のポイントを獲得したが、オコンは接触によるダメージでレースをリタイアした。
一件についてオコンは事故直後「不運な事故」「コメントするつもりはない」と語ったが、その後、ソーシャルメディアを通して謝罪した。ブルーノ・ファミン代表は激怒し、ガスリーは「こんな事は許されない」と批判した。
スチュワードはオコンに対し、カナダGPでの5グリッド降格ペナルティを科したが、ファミンはチームとして別途、「厳しい決定」を下すとして、結果に対する責任を負わせると公言した。
減給か叱責という可能性もあるが、パドックでは、オコンはより深刻な状況に直面するとの見方が多く、英Sky Sportsのレポーター、クレイグ・スレーターはカナダGPでの欠場の可能性を指摘する。
「Canal Plus(フランス最大手の有料放送局)と共にピットウォールに座っていたブルーノ・ファミンは、1周目のクラッシュ直後に怒りを露わにし、厳しい決断を下すと述べたが、誰もがそれを次のレースでのオコンのベンチ入りだと解釈した」とスレーターは語る。
「私が言えることは、アルピーヌのボスであるブルーノ・ファミンにとって、それは依然として真剣な検討事項だということだ。彼はチームにとってベストな決断を下すだろう」
「もしエステバン・オコンを1週間戦線離脱させることがチームの規律を守るために必要だと判断された場合、彼にはそうする用意がある。ただしまだ決定は下されていない」
「昨日のグランプリ後にオコンとファミンとの間で対面での話し合いが行われた。オコンはその場で、またソーシャルメディアを通して公に謝罪した。どうなるか様子を見守ろう」
また、解説を務めるマーティン・ブランドルは「オコンは優れた速いレーシングドライバーだが、特にチームメイトとのレースになると、彼が無分別に攻撃的になることは歴史が示している」と指摘する。
「これまでにもセルジオ・ペレスやフェルナンド・アロンソからチームメイト間における攻撃性と接触について厳しく批判されており、今度はガスリーからも非難されている」
「このような態度はオコンにとって大きな代償を伴うだろう。なぜならトップチームはそのようなメンタリティを容認せず、あるいはどのチームも受け入れない可能性があるからだ」
「F1ドライバーは、何百人もの勤勉なプロフェッショナル、そして何億ポンドもの投資とスポンサーシップを代表している。チームメイトに対して無謀な攻撃を続けることは許されない」
ファミンがこれほどまでに厳しい態度を示した背景には、レースに関する取り決め事項にオコンが従わなかったためだと見られる。
ガスリーは「レース前に明確な指示があったにも関わらず、それが守られなかった。チームメイト間で2台ともを失うようなリスクを冒すべきじゃない」「予選で誰が前に出ても、後ろのクルマがレースを通して終始、助けるはずだった」と語った。
接触には至らなかったものの、マイアミGPでも際どいシーンがあった。オープニングラップでオコンとガスリーは、ツイスティでタイトなセクター2を通してピットウォール冷や汗もののサイドバイサイドを演じた。
もしカナダでオコンがベンチに下がった場合、21歳のオーストラリア人ドライバーが代役候補となるのは必至だ。事故直後のパドックにはリザーブ・ドライバーを務めるジャック・ドゥーハンと話をするファミンの姿があったという。
カナダでのドゥーハンの起用はアルピーヌにとって、2025年のドライバーラインナップを検討する上でこれ以上ない判断材料をもたらす可能性もある。
ドゥーハンは5月中旬、2024年のF1テストプログラムの一環として2月のバルセロナに続き、ザントフォールト・サーキットで2日間に渡って2022年型アルピーヌ「A522」をドライブした。6月にはレッブルリンクで再びテストを行う予定だ。
アルピーヌのWECプログラムの一員であるミック・シューマッハという可能性も考えられる。25歳のドイツ人ドライバーは今季もメルセデスのF1リザーブ・ドライバーを務めており、来季に向けてはアルピーヌとの契約の可能性も噂されている。