アルファタウリ・ホンダの2020年型F1マシン「AT01」カラーの車椅子レーサーが登場
アルファタウリ・ホンダが2020年シーズンのFIA-F1世界選手権に投入したF1マシン「AT01」のカラーリングをまとう車椅子レーサー「RDS WF01TR AT01」が登場した。
ピエール・ガスリーとダニール・クビアトがドライブした同車は優勝1回、表彰台1回を獲得するなど高い競争力を発揮し、チーム創設後としては始めて年間100ポイント越えを達成した。
ホンダ製F1パワーユニットを搭載するイタリア・ファエンツァのチームは2019年よりデザインテック企業、株式会社RDSとパートナーシップを締結。今回のコラボレーションに至った。
発表された「RDS WF01TR AT01」は、車椅子陸上アスリートの伊藤智也選手をテストドライバーに迎え開発された「RDS WF01TR」をベースとしたもので、マシンデザインをRDSが、そしてカラーリングデザインをスクーデリア・アルファタウリが担当した。
ベース車の開発に際しては、モーションキャプチャーを活用した動作分析などを重ねて、動きや走行中のフォーム、力の分散バランスなどを数値化すると共に、座面位置がパフォーマンスに大きく影響するとの研究結果を元に、マシンを選手個人に合わせてパーソナライズ化するアプローチを採った。
こうしたプロセスを経て、同社は千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター「fuRo」の協力を経て、最適なシーティングポジションを導き出す測定システム「RDS SS01」を開発。車椅子レーサーの開発のみならず、医療格差や移動弱者などの社会的課題の解決に向けて、 国立障害者リハビリテーションセンターにて頸損入院患者全員に対しての基本試験を開始した。
アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表は「 F1と車いす陸上という最先端の技術開発の場で生まれた技術が、新しい日常を作り出し、より良い社会の創造に貢献できるよう、今後も積極的にコラボレーションに取り組んでいきたい」とのコメントを寄せた。
本プロジェクトの最終目的についてRDSの杉原行里代表取締役社長は「メダルの獲得ではなく、最速を追求する過程で生まれる技術を医療や福祉などの日常に落とし込むことにある」と述べ、それこそがアルファタウリとのパートナーシップの根幹にあるものであり「F1マシンと同じカラーリングの車いすレーサーは、そのメッセージを象徴するプロダクト」だと説明した。