2023年のF1に試験導入される「代替タイヤ配分方式(ATA)」とは何か?

2022年シーズンのF1世界選手権に供給されたピレリの18インチスリックタイヤCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年シーズンのFIA-F1世界選手権に試験導入されるのはDRSの制限緩和だけではない。「代替タイヤ配分方式(ATA)」とは一体、どのようなものなのか?

シーズンを通して過去最大の6回が計画されているF1スプリントでは、スタート及びセーフティーカーからの再開時にDRSの使用許可が従来よりも1周早められる事が決まっている

だがこれと合わせてもう一つ、実験的な試みがハンガリーGPとイタリアGPを含む最大2大会の予選で実施される。それが代替タイヤ配分方式だ。以前は改訂予選フォーマット(RQF)と呼ばれていたが、シーズン開幕を直前に控えた2月に改称された。

2006年以降、F1の予選は3ラウンド制のノックアウト方式を採用している。第1ラウンドの「Q1」には全20台が参加。そのうちラップタイム上位15台が「Q2」に進出し、Q2では上位10台が「Q3」へ進出する。

いずれのラウンドにおいてもドライバーは装着するコンパウンドを自由に選ぶ事ができるが、ATAが採用される週末では、予選3ラウンドの各々で装着できるコンパウンドが以下のように制限される。

  • 予選Q1:ハードタイヤのみ
  • 予選Q2:ミディアムタイヤのみ
  • 予選Q3:ソフトタイヤのみ

ただしウエット宣言が出された場合はこの限りでなく、インターミディエイトとウエットタイヤを含めた全てのコンパウンドを自由に履くことができる。

一つのレースウィークに供給されるタイヤは晴れ用のスリックタイヤが13セットだが、ATAが採用される週末は以下のように11セットに削減される。

  • ハードタイヤ…3セット
  • ミディアムタイヤ…4セット
  • ソフトタイヤ…4セット

雨用タイヤの割り当て数に関しては変更なく、通常の週末と同じようにインターミディエイトタイヤが4セット、フルウェット・タイヤが3セットが供給される。

予選と決勝で使用できるスリックタイヤは、温存義務があるハードとミディアムを少なくとも1セット含めた計7セットとなる。

供給される全11セットの中の残りの4セットはタイヤ返却義務がある。1セットはFP1終了後に、1セットはFP2終了後に、そして2セットはFP3終了後に返却しなければならない。

これは週末全体に用意されるタイヤを削減して持続可能性を高める事を目的としており、今季のトライアルが成功した場合は2024年シーズン以降に全面採用される可能性がある。

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