ポルシェのコンセプトカー「ミッションR」リア
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VWがポルシェとアウディのダブルF1参戦を検討する理由…パートナーはレッドブルとマクラーレンか

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フォルクスワーゲン・グループが2026年以降のF1ダブル参戦を検討しているのは費用対効果を考慮しての事だ。ポルシェはレッドブルと、アウディはマクラーレンとパートナーシップを結ぶ可能性があると噂されている。

ワーゲンのF1参戦はこれまで度々話題になってきたが、様々な理由によりいずれも実現には至らなかった。特にポルシェに関しては2021年に向けてWEC用のエンジンをF1に転用すべく開発を進めていたものの、ルール変更が見直された事で計画の断念を強いられた。

そんな背景もあり未だに信憑性を疑う声もあるが今回ばかりは状況が異なる。ポルシェとアウディはMGU-H廃止が合意された新しいエンジンレギュレーションの導入に合わせたF1への参戦を「真剣」に検討している。

10月初めに前任のフリッツ・エンツィンガーからポルシェ・モータスポーツ部長の役割を引き継いだトーマス・ラウデンバッハはF1-Insiderとのインタビューの中で「F1を検討している事は秘密ではない。PRやマーケティングの価値という点で非常に興味深いシリーズであり、我々はグループ内で真剣に検討している」と認めた。

ポルシェのモータスポーツ部長に就任したトーマス・ラウデンバッハ、2021年9月15日Courtesy Of Porsche

ポルシェのモータスポーツ部長に就任したトーマス・ラウデンバッハ、2021年9月15日

ただし現時点ではまだ最終決断はなされていない。ラウデンバッハはパワーユニット(PU)メーカーに対する予算上限を含めたコスト削減、PU電動エリアの拡大、競争力のリセットが期待できる大幅なレギュレーション変更の3点が約束されればF1参戦のための条件が整うと主張し、これに「eFuel」の導入を付け加えた。

ポルシェは2022年半ばからeFuelを生産すべく、チリのプンタアレナスに工場を建設。2024年までに約5億5000万リットルを生産する目標で、まずはポルシェ・スーパーカップ用のマシンにこの合成燃料を使用する計画を立てている。

エンジンサプライヤーとしての参戦なのか、それともワークスとしてのエントリーなのか。F1への関与の仕方は様々だが、ラウデンバッハはチーム買収を含めたあらゆる選択肢を評価していると明かした上で、ポルシェのみならずアウディも参戦を検討している事を公に認めた。

グループから2つのブランドを参戦させる必要があるのだろうか? その狙いはどこにあるのか? ラウデンバッハは費用対効果を理由に挙げた。パワーユニット開発には莫大なコストが生じるが、一度作り上げてしまえば1チームで使うよりも2チームで使った方が回収効率が上がる。

伝えられるところによるとポルシェはレッドブルと、アウディはマクラーレンとのコラボレーションを検討しており、フォルクスワーゲンはレッドブル・パワートレインズ社と協力して2026年の新レギュレーションに対応した両ブランド用のエンジンを開発する可能性があるという。

レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはフォルクスワーゲンが望むのであれば「もちろん歓迎する」と述べ、パートナーシップ締結に前向きな姿勢を示している。

両者は以前、F1での提携を目前にしていたものの、2015年9月のいわゆる“ディーゼル・スキャンダル”で話が流れた経緯がある。

F1-Insiderは11月にヴォルフスブルクで開催されるグループの監査役会で2026年からのF1参戦計画にゴーサインが出る可能性があると伝えている。