フェルスタッペン「奇跡の逆転劇」の裏側、トップ5圏外からのカタール劇的復活
2024年のF1カタールGP予選での結果をマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「奇跡」と評した。僅か数時間足らずでこの大逆転劇を可能たらしめたものは何だったのか?
直前のスプリントでは1点を持ち変えるのが精一杯だった。19周のレースが終わり、パルクフェルメが一旦解除されると、レッドブルはリスクを取ってRB20のセットアップを大胆に変更した。
その効果はてきめんだった。フェルスタッペンはそれまでクルマに自信を持てていなかったが、即座にクルマとの一体感を実感し、予選Q2をトップで通過してポールポジション争いに名乗りを上げた。
トップ5圏外に終わった前日のスプリント予選が嘘であったかのように、Q3ではジョージ・ラッセル(メルセデス)を僅差で交わして逆転のトップタイムを記録した。フェルスタッペンは「奇跡が起きた」と語った。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、寒冷なコンディション下でタイヤを機能させるために可能な限りの変更を加えたと明かし、それを可能にした英国ミルトンキーンズのファクトリーチームの貢献を強調した。
ファクトリーでは数百人のスタッフがデータを分析し、シミュレーターをフル稼働させた。ウイングレベルはそのままに、車高とダンピングの調整が行われた。この結果、高速域でのスピードを保ったまま、低中速コーナーでのクルマの挙動が改善した。
「見事な巻き返しだ。エンジニアやミルトンキーンズのチームが本当によく頑張ってくれた」とホーナーは語った。
「彼らは良いセットアップを見つけ出してくれた。マックスもすぐにその効果を感じ取った。彼の口から最初にでてきたのは『良くなった』というものだった。そして驚くべきパフォーマンスを見せてくれた」
「ありとあらゆる手を尽くした。変更できるものは、ほとんど全て変えた。それがバランス良くまとまるかどうかは分からなかったが上手くいき、彼は完璧に仕事をやり遂げてくれた」
「昨日はターン1、ターン2、そして特に最終コーナーで苦戦していた。ターン7でも若干手を焼いていた。だがそれらのコーナーで突然、クルマが活き活きと機能し始めた」
フェルスタッペン自身も、クルマとの一体感が向上したことで自信をもってプッシュできるようになったと語り、スプリントを終えた直後の段階では、これほどの改善は予想できなかったと驚きを示した。
「こんな結果になるなんて思っても見なかった。クルマとの一体感が少し感じられるようになった。チームに感謝したい」とフェルスタッペンは語った。
「クルマが少しまとまってくると、それだけプッシュできるようになる。予選での感触は、それまでよりも遥かに良かった」
「セットアップを少し変えたけど、ここまでパフォーマンスが変わるとは思わなかった。だから期待が持てる。レースでもこの調子が続いてほしいね」
突破口になったのはセルジオ・ペレスと言えるだろう。
ペレスはスプリントでセットアップが変更されたクルマに乗り、ピットレーンからスタートしてクリーンエアーで周回を重ねてデータを集めた。この結果を受けて調整が加えられたセットアップは、予選に向けて1号車に適用された。
不必要に低速で走行したと見なされ、フェルスタッペンはラッセルにポールポジションを奪われた。しかしながら、RB20が速さを取り戻したことに変わりはない。
それでも57周のレースで同じレベルのパフォーマンスを維持できるかは未知数だ。
フェルスタッペンは、決勝に向けてはタイヤマネジメントが重要な課題になるとし、特にカタール特有のロングコーナーで消耗しやすいフロント左タイヤのケアが鍵になると述べた。
「ここでは左フロントがかなり消耗するから、明日はそれを上手くマネジメントすることが重要だ。この点で新しいセットアップが少し役立ってくれればと思ってる」とフェルスタッペンは語った。
2024年F1カタールGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がトップタイムを記録。2番手にジョージ・ラッセル(メルセデス)、3番手にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間12月1日(日)25時にフォーメーションラップが開始され、1周5419mのロサイル・インターナショナル・サーキットを57周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。