新旧路面がもたらした”鈴鹿ジレンマ”―フェルスタッペンのアウトラップ戦略に光を当てるメルセデス

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2025年のF1日本GPでポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)の予選でのアウトラップ戦略を受け、メルセデスは自らの判断が誤っていたと認めた。

メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームズ・アリソンは、予選Q3での判断ミスがジョージ・ラッセルの予選結果に直結したとの認識を示し、フェルスタッペンとは正反対のアプローチを採っていたことを明かした。

“新旧路面”がもたらした温度管理のジレンマ

路面が再舗装された結果、予選では、コース前半区間で如何にグリップを確保するかが勝負の決め手となった。フェルスタッペンはアウトラップの終盤にタイヤを積極的に温め、ターン1〜2からS字にかけての高速区間を全開でアタック。ランド・ノリス(マクラーレン)に0.01秒差をつけてポールを獲得した。

一方でメルセデスは、ラップ終盤のパフォーマンスを優先する方針を採り、ラッセルに対してタイヤの温度を抑えた状態でアタックを開始するよう指示していた。アリソンは次のように述べ、フェルスタッペンと同じ戦略を取らなかったことへの後悔の念をのぞかせた。

「Q3最終ラップで我々は、少し温度が低い状態でアタックを開始するようジョージに促したが、それは誤りだった。彼自身はもっとタイヤを温めるべきだと感じていた。だが、その意見を取り入れなかったことで、最初のセクターで大きくタイムを失ってしまった」

アリソンは続けて、新たに舗装されたセクションと従来の路面が混在する鈴鹿の特性についても解説した。

「新しい路面ではタイヤをしっかり温めてグリップさせるのが難しい。一方、古い舗装部分に入ると今度はタイヤが過熱しやすくなる。そのため、コース前半でグリップを得つつ、後半ではオーバーヒートを避ける必要がある」

「概して言えば、アウトラップの終盤にしっかりプッシュすることで、アタックラップのターン1・2やS字でタイヤを最適な状態に持っていく必要がある。ただし、これをやると後半セクションで代償を払う可能性がある」

フェルスタッペンはアウトラップ終盤にプッシュし、タイヤを十分に温めることでラップ前半にタイムを稼ぎ、後半は持ちこたえる戦略を採った。アリソンは、「我々もそうしていれば、もっと良いグリッドに並べていたはずだ」と語り、戦略ミスへの悔いをにじませた。

アントネッリより”年上”のバーレーンではマクラーレン有利

また、今週末の舞台となるバーレーン・インターナショナル・サーキットについても言及。アリソンは「このサーキットの路面は非常に粗く、かなり古い。実際、キミ(アントネッリ)よりも年上だ。再舗装されていないため、タイヤへの負担が大きく、特に前後のタイヤ温度とデグラデーションのマネジメントが重要になる」と説明した。

その上で、マクラーレンMCL39の特性がこうした状況に適していると分析し、「今回のような状況下では彼らが有利だろう。だが、プレシーズンテストや、レッドブルやフェラーリと比較から見れば、表彰台争いは可能だと見ている。マクラーレンが何かしらのミスを犯せば、さらに上位も狙える」と自信をのぞかせた。

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