レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとのクラッシュを経て事故現場を歩き去るメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年9月12日F1イタリアGPにて
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フェルスタッペンとハミルトン、互いを非難…イタリアGPで再び衝突

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熾烈なチャンピオンシップ争いは往々にして波乱を呼ぶ。僅差のタイトル争いを繰り広げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)はイギリスGPに続いてモンツァでのF1第14戦イタリアGPで再び衝突し、共にリタイヤに終わった。

RB16Bが宙を舞う衝撃的なクラッシュは26周目のターン2で起きた。ハードタイヤに履き替えてピットアウトしたハミルトンは、先にピットストップを終えていたフェルスタッペンを従えてターン1へと向かっていった。

両者はサイド・バイ・サイドでターン2へ。行き場をなくしたフェルスタッペンは、コーナーの内側のオレンジ色に塗られた通称”ソーセージ縁石”に乗り上げ、この衝撃でリアが大きくせり上がった。RB16Bはハミルトンのクルマに乗り上げ、2台はアウト側のグラベルの餌食となり停車した。

ヴィタントニオ・リウッツィを含むF1イタリアGPのスチュワードはレースを終えて、事故の「主な過失」はフェルスタッペンにあるとして、次戦ロシアGPでの3グリッド降格ペナルティと、12ヶ月間計12点で1レースの出場停止となるペナルティポイントを2点加算(累積2点)する裁定を下した

幸いにも2人に大きな怪我はなかったが、ハミルトンはRB16Bのリアタイヤが自身のヘルメットに当たって首を少し痛めたと明かし「ヘイローに感謝しなきゃね。あれが僕を救ってくれた」と語った。次戦ロシアGPに向けて、専門医の診察を受けると言う。

事故についてハミルトンは、同じようにフェルスタッペンと交錯したオープニングラップの第2シケインでのインシデントを引き合いに出し、フェルスタッペンが引くべきだったとの考えを示した。

「ターン4での一件と全く同じシナリオだ。あの時も僕がアウト側にいたんだけど、僕が道を譲ったんだ。それがレースってものだ。でも今日の彼は譲ろうとはしなかった」

「彼はターン2でどういう事になるか理解していたはずだ。縁石に乗り上げてしまうだろうって事をね。でも彼はやめなかった」

ハミルトンはまた、事故の直後にフェルスタッペンが自身を気にかけずに立ち去っていった事を非難した。

「マックスはクルマから降りると、そのまま歩いて行ってしまった。インシデントが起きた時は、まず衝突した相手が無事かどうかを確認したいと思うものなのにね」

対するフェルスタッペンは「ルイスは問題なかった。僕がクルマを降りた時、彼はまだクルマをバックさせようとしていた。無事じゃなきゃ、あんな事しないでしょ」と述べ、ハミルトンに怪我がない事を確認したと反論した。

ハミルトンはグラベルに囚われてなお、クルマを動かそうと試行錯誤していた理由を次のように説明した。

「映像で見ても一瞬の出来事だったけど、あの時の僕に頭に浮かんだのは何とかしなきゃって事と、一体どれほどのポジションを失っているんだろうという事だけで、まだレースモードのままだったんだ」

「大きな衝撃だったけど、頭に浮かんだのはもう一度走り出すことができるかどうかって事だった」

故意のクラッシュ、非を自ら認めている

2021年9月11日にモンツァ・サーキットで行われたF1イタリアGPスプリント予選1周目のターン1をトップで通過するレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

2021年9月11日にモンツァ・サーキットで行われたF1イタリアGPスプリント予選1周目のターン1をトップで通過するフェルスタッペン

モンツァのターン1・2は事故が多発する悪名高きシケインとして知られている。ハミルトンが指摘するように、サイド・バイ・サイドでターン2に向かえば仮に自身に非がなくともリスキーな状況に追い込まれるであろう事はフェルスタッペンであれば予想し得たはずだが、彼は全く引く素振りを見せなかった。

フェルスタッペンはハミルトンに”期待”し、そして見誤った。それは次の発言からも読み取れる。

「まさか彼が徹底的に追いやってくるとは思わなかった。何故かって? 彼にはその必要がなかったからさ。例え1台分のスペースを残したとしても、彼はターン2を出てなお、僕の前に出ていたはずだからね」

「でも結局のところ、彼は僕を外に外にと追いやってきて、最後にソーセージ縁石に押し付けた。それでリアタイヤが跳ね上がって彼のタイヤの上に乗ってしまい僕らは接触した。そういう事だよ」

フェルスタッペンはスチュワードの裁定に「全く同意できない」とする一方、ハミルトンのドライビングを責めながらも「レーシングインシデントだと思う」とした。その上で「お互いにプロフェッショナル」だとして、一件を乗り越え前に進んでいく姿勢を強調した。

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