パルクフェルメで話すポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、FIA会長モハメド・ベン・スレイエム、2024年4月20日(土) F1中国GP予選(上海インターナショナル・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

アロンソは「8度のF1チャンピオン」の器だとフェルスタッペン、タイトル数では測れない史上5本指に入る実力と評価

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フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)についてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、物事が噛み合ってさえいればミハエル・シューマッハやルイス・ハミルトンを凌ぐF1史上最多となる8度のチャンピオンを手にしていた可能性があると考えている。

先日、43歳の誕生日を迎えたアロンソはルノーとともに、2005年に当時のF1史上最年少ドライバーズチャンピオン記録を樹立。翌2006年には連覇を達成し、「現役最強」との誉れとともにマクラーレン、フェラーリ、アルピーヌ、そしてアストンと渡り歩いてきたが、以降はタイトルから遠ざかっている。

スパ・フランコルシャンのパドックを歩く私服姿のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2024年7月25日F1ベルギーGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

スパ・フランコルシャンのパドックを歩く私服姿のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2024年7月25日F1ベルギーGP

一方の父親はF1ドライバー、もう一方は爆薬製造工場の機械工で「才能が全くない」アマチュアのカードドライバーという家庭環境の違いはあるが、非イギリス出身のチャンピオンであるフェルスタッペンとアロンソはこれまで一貫して、お互いに特別な敬意を払ってきた。

共通項もある。アロンソはシューマッハに引導を渡し、フェルスタッペンはハミルトンの支配体制に終止符を打った。両者とも感情や意見を表に出すことを躊躇わず、イギリス中心のF1メディア報道を公然と指摘し、互いの才能を認め、タッグを組みル・マン24時間レースの将来的な参戦を計画している。

2度のスペイン人F1ワールドチャンピオンについてフェルスタッペンは、スペインの日刊紙ムンド・デポルティーボとのインタビューの中で「アロンソはF1の歴史上、5本の指に入るドライバーだと僕は思っている」と語った。

フェルスタッペンが考える史上トップ5ドライバーはシューマッハ、アイルトン・セナ、アロンソ、ハミルトン、そしてファン・マヌエル・ファンジオだ。

アラン・プロストやセバスチャン・ベッテル、ニキ・ラウダなど、選手権を制覇した数で言えばアロンソを上回るドライバーは11名いるが、フェルスタッペンは「タイトルの数」は重要ではないと主張する。

「キャリアを通してもう少し運に恵まれ、適切なタイミングで正しい決定を下していれば、アロンソは8回のワールドチャンピオンを獲得していたかもしれない。だからタイトルの数は重要じゃない」とフェルスタッペンは語った。

また、「人々は一番多くタイトルを獲得した人を自動的にリストのトップに置いてしまうけど、タイトルの数だけじゃ評価できない」として、サッカーの例を引き合いに出し、特にチームスポーツにおいて結果のみに注目するのは誤りだと指摘した。

「チャンピオンズリーグを6回、あるいはワールドカップで1回、2回勝った人が最高の選手なのだろうか?必ずしもそうじゃない。それは結束が必要なチームの努力なんだ」

「だからこそ僕は、フェルナンド・アロンソが間違いなく歴史上最も優れたドライバーの一人だと思うんだ。彼はどこに行っても一貫して本当に、本当に速かったからだ」

「でもレースに勝つためには適切なクルマが必要だ。残念ながらアロンソはそれを常に持っていたわけじゃなかった」

マクラーレンのフェルナンド・アロンソ、2019年インディ500プラクティス4にてCourtesy Of Indycar

マクラーレンのフェルナンド・アロンソ、2019年インディ500プラクティス4にて

フェルスタッペンがアロンソを偉大だと感じているもう一つの理由は、変幻自在の適応力の高さだ。

2017年にはアンドレッティの協力を得て、モナコGPを欠場してインディ500にスポット参戦。初のオーバルレースながらも予選5番グリッドを獲得し、最終的にはエンジンブローでリタイヤしたものの、レースではリードラップを刻むなど優勝争いに絡んだ。

また翌年にはトヨタからFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦し、ル・マン24時間レースを制してLMP1クラスのドライバーチャンピオンを獲得。さらにその翌年にはダカール・ラリーにも挑戦した。

「フェルナンドはファイターだ。F1だけじゃなく、ラリー、ダカール、耐久レースなど、様々なマシンを乗りこなし、どの分野でも一貫して速さを発揮してきた。それができるドライバーは殆どいない」とフェルスタッペンは付け加えた。

2019年のル・マン24時間レースを制したフェルナンド・アロンソ、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミCourtesy Of TOYOTA MOTOR CORPORATION

2019年のル・マン24時間レースを制したフェルナンド・アロンソ、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ