
ウクライナ政府がFIAに撤回要請、ロシア・ベラルーシ勢“解禁”めぐり…ロシア側は「正義が勝利した」
ロシアおよびベラルーシ勢への参加制限の撤廃を巡り、ウクライナ政府が決定を再考するよう国際自動車連盟(FIA)に要請した。同国の青年スポーツ相がFIA会長モハメド・ベン・スレイエムとFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)に書簡を送った。FIAは書簡を受け取ったことを認めた。
FIAは今月、ロシアおよびベラルーシ国籍のドライバー、チーム、個人競技者、オフィシャルに課してきた国際モータースポーツへの参加制限を撤廃した。これにより、これまで義務とされてきた中立誓約に署名することなく、制限なしに競技へ参加できるようになった。
加えて、両国の国旗・国章・色をレーシングスーツなどのユニフォームや装備、マシンに掲げることが再び認められた。国歌の演奏も許可された。これらの措置は、2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始した後に導入されていた。
ウクライナ、決定の撤回を要請
英国の公共放送『BBC』が報じたウクライナ自動車連盟(FAU)の声明によると、同国の青年スポーツ相マトビー・ビドニーはベン・スレイエムとWMSCに対し、制限措置の撤廃に関する決定を再考するよう求める書簡を送った。
国際オリンピック委員会(IOC)は先月、ロシアオリンピック委員会(ROC)の資格停止措置を暫定的に解除した。
FAUは、FIAの決定がIOCの判断に沿ったものであることは認めつつも、モータースポーツにおいては競技の公正性を確保するうえで「逆効果をもたらす可能性」があると訴えた。さらに「国家や国旗、その他の象徴を利用することで、侵略国がスポーツを宣伝や行動の正当化の道具として利用できる」余地があると指摘した。
また、ベラルーシの支援を受けたロシアによる侵攻によって、ウクライナのモータースポーツ界は甚大な被害を受け、多数の競技関係者が死亡したと説明。今回のような決定を検討する際、「こうした事情を無視することは到底許されない」との立場を示した。
FIAは理由を示さず、ロシア側は歓迎
FIAは制限撤廃の理由について一切明らかにしていない。ただし、ベン・スレイエムの要請を受けてWMSCが承認したと報じられている。
ロシア自動車連盟(RAF)はFIAの決定を歓迎している。会長のボリス・ローテンベルクは、今回の変更の背景にはRAFによる大規模な外交的働きかけがあったとの認識を示した。
さらに、「スポーツと文化は政治から切り離されるべきものだ。これらは人々を一つに結びつける。正義が勝利した。FIAが建設的な対話を継続してくれたことに感謝する。我々は今後の喫緊の課題についても共同で解決していく用意がある」と述べた。
ローテンベルクは米国と英国双方の制裁対象者リストに掲載されている。
ウクライナ政府の要請を受けてFIAが今回の決定を再検討するかどうかは、現時点では明らかになっていない。