キャリア初のポールポジションを獲得した旧友、カルロス・サインツ(フェラーリ)を称えるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年7月2日F1イギリスGP予選
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サインツ「冗談だろ!」雨のシルバーストンで初ポール!苦戦の角田裕毅は健闘 / F1イギリスGP《予選》結果とダイジェスト

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2022年シーズンのFIA-F1世界選手権10戦イギリスGPの公式予選が7月2日にシルバーストン・サーキットで行われ、カルロス・サインツ(フェラーリ)が1分40秒983を記録し、通算150戦目(エントリー151戦目)の節目にキャリア初のポールポジションを獲得した。

これは今季第2戦サウジアラビアGPでセルジオ・ペレス(レッドブル)が記録したキャリア215戦目でのポール記録に次ぐ歴代2位で、サインツは72年に及ぶF1史における104人目のポールシッターとして名を刻んだ。

インターミディエイトを履いて雨のシルバーストン・サーキットを走るカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年7月2日F1イギリスGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

インターミディエイトを履いて雨のシルバーストン・サーキットを走るカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年7月2日F1イギリスGP

雨に見舞われ路面コンディションが移り変わる中、サインツはQ3での最終ラップで初めてトップタイムを記録。ここぞというタイミングで仕留め切ったが、本人的にはポールラップの自覚はなかった。

チーム無線でポールの事実を知らされた27歳のスペイン人ドライバーは「冗談だろ!なんてこった。予想外だ! 」と笑った。

そしてヘルメットを脱ぐと「容易にスナップしてラップを失ってしまう状況だったけど、最終的には特段、何でもないと思ったラップでポールポジションだったから、ちょっとビックリだよ」と語った。

予選Q1開始直前に本降りとなり、路面コンディションは3セグメントを通して変化し続けた。Q3後半に雨脚が強まる可能性があったため、ポール争いはより緊迫したものとなった。

各ラウンドで最速を刻み続けていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、Q3の最初のラップで360度スピン(=「タイヤに熱を入れる新しいテクニック」)を喫し、最終的には黄旗に翻弄され、1000分の72秒差の2番手に甘んじた。予選後のインタビューではグランドスタンドからブーイングを受けた

シャルル・ルクレール(フェラーリ)は最後のアタックで黄旗スピンを喫して3番手となった。フェルスタッペンのチームメイト、セルジオ・ペレスがトップ4に名を連ねた。

5番手から8番手までは0.166秒の僅差となり、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がランド・ノリス(マクラーレン)を1000分の89秒差で退け5番手を獲得した。7番手にはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、8番手にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が続いた。

アルファロメオはルーキーの周冠宇が殊勲の9番手を刻んだ。ウィリアムズは皮肉にも、新スペックのFW44を駆るアレックス・アルボンが16番手でQ1敗退を喫した一方、ニコラス・ラティフィは初のQ3進出を果たして10番手を手にした。

アルファタウリ勢はピエール・ガスリーが11番手、角田裕毅が13番手と、揃ってQ2敗退を喫したが、Q1敗退の危機に晒される状況であった事を思えば健闘といって良いだろう。アルファタウリはドライとウェットの両コンディションを想定し、2台でセットアップを分けた

予選Q1:ハースとアストンが全滅

予選を前に現地トウスターには本格的な雨が降り始め、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温16.1℃、路面21.1℃、湿度82%、気圧999.5hPaのウエットコンディションでスタートした。

全車インターミディエイトタイヤを履いてコースイン。路面の改善と共にタイムシートが慌ただしく入れ替わる中、フェルスタッペンは終始、最速争いに絡み続けてトップ通過を果たした。

結果的には上位13台は1セット、14番手以下は全車が2セットのインターミディエイトを投じた。

雨に自信を持っていたハース勢、サーキットの目と鼻の先に本拠地があるアストンマーチン勢は揃ってQ1敗退を喫した。

Pos Driver Team Time Gap Laps
1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 1:39.129 10
2 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:39.846 + 0.717 11
3 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:40.028 + 0.899 11
4 カルロス・サインツ フェラーリ 1:40.190 + 1.061 11
5 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:40.428 + 1.299 11
6 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 1:40.521 + 1.392 10
7 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 1:40.791 + 1.662 11
8 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 1:41.396 + 2.267 11
9 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:41.515 + 2.386 10
10 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:41.598 + 2.469 8
11 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 1:41.680 + 2.551 11
12 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:41.730 + 2.601 8
13 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 1:41.893 + 2.764 10
14 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:41.933 + 2.804 10
15 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:41.998 + 2.869 11
16 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 1:42.078 + 2.949 11
17 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 1:42.159 + 3.030 11
18 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 1:42.666 + 3.537 9
19 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:42.708 + 3.579 11
20 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:43.430 + 4.301 10

予選Q2:ラティフィ、初のQ3

5台が脱落し残る15台のマシンが挑んだQ2は雨脚が強まり、ノリスがアクアプレーニングを訴えるなど路面コンディションが悪化した。

セッション後半は誰も自己ベストを改善できない状況となり、序盤にクリーンナップを刻めなかった者が敗れ去った。ラティフィは見事、10番手タイムを刻み、初のQ3進出を果たした。

マクラーレンとアルファロメオはチームメイト間で明暗が分かれた。周冠宇は9番手でQ3に進んだものの、バルテリ・ボッタスは12番手でセッションを終えた。

また、ダニエル・リカルドが14番手でノックアウトした一方、ノリスは6番手タイムを刻んだ。

Pos Driver Team Time Gap Laps
1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 1:40.655 15
2 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:41.062 + 0.407 15
3 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:41.247 + 0.592 17
4 カルロス・サインツ フェラーリ 1:41.602 + 0.947 17
5 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:41.725 + 1.070 15
6 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:41.821 + 1.166 18
7 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:42.209 + 1.554 16
8 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 1:42.513 + 1.858 18
9 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 1:42.640 + 1.985 20
10 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:43.273 + 2.618 19
11 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 1:43.702 + 3.047 19
12 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 1:44.232 + 3.577 20
13 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 1:44.311 + 3.656 19
14 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:44.355 + 3.700 18
15 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:45.190 + 4.535 17

予選Q3:フェルスタッペン、乱れる

更なる降雨が予想される中、FP3を含めてここまで各ランを完璧に決めてきたフェルスタッペンが乱れた。

最初の計測ラップでは360度スピンを喫し、2回目のラップも最終セクションでコースオフ。それでも3本目に後続に1.8秒差の暫定ポールに立った。

ルクレールが最終ラップでスピンを喫する中、サインツが最後の最後にタイムシートのトップに浮上。黄旗に翻弄されたフェルスタッペンを尻目にそのまま逃げ切り、初のポールポジションを獲得した。

2022年F1イギリスグランプリ決勝レースは日本時間7月3日(日)23時にフォーメーションラップが開始され、1周5,891mのシルバーストン・サーキットを52周する事でチャンピオンシップを争う。

2022年F1第10戦イギリスGP予選リザルト

Pos No Driver Team Q1 Q2 Q3 Laps
1 55 カルロス・サインツ レッドブル・RBPT 1:40.190 1:41.602 1:40.983 26
2 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 1:39.129 1:40.655 1:41.055 24
3 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:39.846 1:41.247 1:41.298 26
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 1:40.521 1:42.513 1:41.616 26
5 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:40.428 1:41.062 1:41.995 23
6 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:41.515 1:41.821 1:42.084 26
7 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:41.598 1:42.209 1:42.116 23
8 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:40.028 1:41.725 1:42.161 23
9 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 1:40.791 1:42.640 1:42.719 28
10 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:41.998 1:43.273 2:03.095 24
11 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 1:41.680 1:43.702 19
12 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 1:41.396 1:44.232 20
13 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 1:41.893 1:44.311 19
14 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:41.933 1:44.355 18
15 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:41.730 1:45.190 17
16 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 1:42.078 11
17 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 1:42.159 11
18 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 1:42.666 9
19 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:42.708 11
20 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:43.430 10

コンディション

天気
気温16.1℃
路面温度21.1℃

セッション概要

グランプリ名 F1イギリスGP
セッション種別 予選
セッション開始日時

サーキット

名称 シルバーストン・サーキット
設立 1947年
全長 5891m
コーナー数 18
周回方向 時計回り

F1イギリスGP特集