レッドブルの戦略決定に影響を与えたメルセデス、失策疑うフェルスタッペン
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アルベルト・アスカリ、ミハエル・シューマッハ、セバスチャン・ベッテル、ニコ・ロズベルグに次ぐ史上5人目となる6連勝を達成したF1イギリスGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が不満・課題を感じた要素が2つある。
1つはスタートだ。ブラックアウト直後、路面を上手く掴めなかった事でフェルスタッペンは、ターン1までにランド・ノリス(マクラーレン)に先行を許し、全周リードラップの記録を逃す事となった。
スタートでの出遅れについてフェルスタッペンは「ホイールスピンが酷くてね。おかげでターン1までの間にかなりのトラクションを失ってしまい、ランドに前を許しちゃったんだ」と説明する。
「続くターン3、4ではトラブルに巻き込まれないように注意して、その後のコプス(ターン9)ではオスカーとちょっとしたバトルがあって、アウト側に踏みど止まらなきゃならなかった」
なおレース中に無線を通して「クルマが引っ張られる感じがあって、ちょっとおかしい」と訴える場面があったが、あれは「チームに報告したいと思っただけで、大事だったわけじゃないんだ。風が本当に酷くて、ある時点では全然予測できない状態だったから報告したんだ」と説明した。
2つ目は最終第2スティントのタイヤ戦略だ。ケビン・マグヌッセン(ハース)のリアから出火した事でセーフティーカー(SC)が導入され、フェルスタッペンは33周目にピットストップ義務を消化。ミディアムからソフトに履き替えコースに戻った。
再スタートに向けて2番手を走行していたノリスはソフトを要求していたものの、おそらくはザク・ブラウンCEOの介入により、マクラーレンはノリスにハードを履かせた。
熱入れが難しいC1コンパウンドを与えられたノリスは、リスタート後の3周に渡ってルイス・ハミルトン(メルセデス)からの猛追を受けた。
フェルスタッペンはノリスをDRS圏内から弾き出す事に成功したものの、タイヤのオーバーヒートにより終盤に向けてペースが不安定だった。
フェルスタッペンは「ソフトかハード。どのタイヤを付けるか決めなきゃならなかったから、僕らはソフトを選ぶことにしたんだ」と振り返る。
「その時点では、それが正しいと僕も思ったけど、リスタートしてみるとたったの2、3周しか保たず、温度をコントロールするのがかなり難しいことに気づいたんだ」
「走っていて特に良い感触はなかったし、この後調べてみるつもりだけど、ハードタイヤを選ぶべきだったかもしれないね」
「少なくともスティント全体でもう少しばかりハードにプッシュできただろうし。もちろん、最初の2、3周は少しキツいかもしれないけど終盤に向けては多分、もう少し速く走れたと思う」
ハードではなくソフトを選択した理由は何だったのか?チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、その背景にジョージ・ラッセル(メルセデス)のパフォーマンスがあった事を明かした。
「我々にとって2012年以来初めてのイギリスGPでの優勝、マックスにとってのシルバーストンでの2度目の優勝、そして11連勝という記録は、今日という日を一層特別なものにしてくれたが、チャレンジがなかったわけではない」
「我々は当初、ミディアムとハードを使ったレースになると予想していたが、ソフトを履いたジョージのパフォーマンスを見て戦略を見直し始めたんだ」
「そして、最終クオーターでセーフティーカーが導入された時、後続をDRS圏内から引き離すにはソフトタイヤが一番の解決策になると考えたんだ」
7月9日(日)にシルバーストン・サーキットで行われた2023年F1第11戦イギリスGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。
ハンガロリンクを舞台とする次戦ハンガリーGPは7月21日のフリー走行1で幕を開ける。