角田裕毅、レッドブル昇格決定との報道―ホンダ金銭後押しか…F1日本GPより現役王者フェルスタッペンのチームメイトに

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レッドブル・レーシングが、4月4~6日のFIA-F1世界選手権第3戦日本GPを前に、わずか2戦でリアム・ローソンを交代させ、レーシング・ブルズの角田裕毅をマックス・フェルスタッペンの新たなチームメイトに指名したと、オランダの有力紙『De Telegraaf』およびフランスの有料テレビ局『Canal+』が25日、報じた。

この決定は、3月25日(火)にドバイで開催されたレッドブル上層部のトップ会議において正式に下されたと伝えられている。会議には、タイ人の大株主チャルーム・ユーウィッタヤーや、エンジン供給元であるホンダの関係者も出席していたとされ、ホンダによる「数百万ドル」の金銭的支援が決断を後押しした可能性も指摘されている。

レッドブル、角田裕毅起用を発表

現時点でレッドブルおよびレーシング・ブルズのいずれからも正式発表はないものの、今週中にもアナウンスが行われる見通しと伝えられている。特にフェルスタッペンの母国メディアである『De Telegraaf』は、レッドブルの内情に精通しており、今回の報道にも一定の信憑性があると見られる。

報道が事実であれば、角田にとっては2021年のF1デビュー以来、念願だった本家チームでの走行チャンスを得ることになる。しかも、その舞台は母国日本。ホンダの支援や地元ファンの応援も加わり、自身にとって最高の舞台での“初陣”となる。

F1アカデミーのグリッド上で写真を撮るレーシング・ブルズのローラン・メキーズ代表、アイザック・ハジャー、角田裕毅、2025年3月23日(日) F1中国GPサポートレースのF1アカデミー第1戦レース2にて(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1アカデミーのグリッド上で写真を撮るレーシング・ブルズのローラン・メキーズ代表、アイザック・ハジャー、角田裕毅、2025年3月23日(日) F1中国GPサポートレースのF1アカデミー第1戦レース2にて(上海インターナショナル・サーキット)

昨年まで4シーズンにわたりフェルスタッペンの相棒を務めたセルジオ・ペレスは、成績低迷にも拘らず昨年、契約を延長したが、最終的に1800万ユーロ(約29億円)の違約金を受け取り、2024年シーズン末を以てシートを失った。

そんなペレスの後任に指名されたのがローソンだったが、開幕2戦でともにノーポイントに終わり、中国GPではスプリント予選・本予選ともに最下位に沈むなど、ペレスをさらに下回るパフォーマンスに終始し、評価を大きく落としていた。

一方で角田は、開幕戦では予選5番手を記録し、決勝でもチームの戦略的ミスが発生する終盤までトップ6を走行。中国GPではスプリント予選8番手、スプリント本戦で6位入賞を果たし、さらに本予選では9番手を獲得。決勝では再び戦略ミスに見舞われながらも、内容的には5位入賞が確実といえる好走を見せるなど、着実に結果を残して存在感を示している。

こうした状況の中、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーとアドバイザーのヘルムート・マルコは中国GP後、ドライバーラインナップを再検討する方針を示唆した。

フェルスタッペンは、レッドブルの2025年型「RB21」は扱いが非常に難しいクルマであり、「リアムをレーシング・ブルズに乗せたら、もっと速く走ると思う」と擁護したが、最終的にチーム首脳陣はローソンにこれ以上の猶予を与えなかったようだ。

ただし今回の決定は、ペレスとの契約を早期に解除しながらも、コース上でのパフォーマンスと経験の両面でローソンを上回っていた角田を2025年シーズンに向けて起用しなかったという、これまでの首脳陣の判断に対する疑問も投げかけるものとなる。

最終フリー走行中にガレージ内で過ごすリアム・ローソン(レッドブル・レーシング)、2025年3月15日(土) F1オーストラリアGP FP3(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

最終フリー走行中にガレージ内で過ごすリアム・ローソン(レッドブル・レーシング)、2025年3月15日(土) F1オーストラリアGP FP3(アルバート・パーク・サーキット)

なお、今週木曜には英国ミルトンキーンズのファクトリーでレッドブル関係者による会合が予定されており、フェルスタッペンも出席するという。会合では、開幕2連勝中のマクラーレンに対する巻き返し策も議題となる見通しだ。

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