
角田裕毅とローソン、なぜ代役でも速い? フェルスタッペンが語る「僅差が映す新世代F1」
リアム・ローソンと角田裕毅の代役参戦組が、レギュラードライバーと遜色ないタイムを刻んだ。
第12戦オランダGPの公式予選で、ローソンはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に0.115秒差まで迫った。2026年型マシンを初めてドライブした週末ながらも、角田もQ2でアーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)との差を0.102秒に抑えた。
フェルスタッペンは、この僅差を偶然とは捉えていない。
イギリスの専門メディア『The Race』によると、これは新世代マシンの導入によりドライバーが自らの腕で違いを生み出せる余地が小さくなったことの表れなのかとの質問に対し、4度のF1王者は次のように答えた。
「特に予選では、今のマシンは限界を見つけるのがかなり簡単になっていると思う。バッテリーの出力が少し足りなくなる場所も多いから、ラップをまとめること自体は少し簡単になる」
新世代マシンで縮まる? ドライバー間のタイム差
フェルスタッペンが指摘しているのは、2026年型F1マシンが単に「ドライブしやすくなった」ということではない。
2026年の新世代マシンは電動出力への依存度が大幅に増しているが、バッテリーの残量不足により、ラップの一部では電力を十分に使うことができない。そのため、あらゆるコーナーに全開で飛び込み、車体とタイヤの性能限界まで攻める場面が以前より減り、一定水準のラップタイムまで届きやすくなったとみているのだ。
フェルスタッペンは、オランダGPでローソンと角田が見せている速さに触れて、「今週末はそれがかなりよく表れていたと思う。僕にとっては驚くべきことじゃない」と付け加えた。
この傾向は、ザントフォールトでの角田とローソンに限った話ではなく、今季を通してフィールド全体で見られるものだとフェルスタッペンは指摘する。
「今年はシーズンを通して誰もが常に0.1秒、0.2秒以内にいる。予選がかなり悪くても0.3秒くらいだ。ギャップは毎回小さい」
「今年の方が難しい」ステラが語る2026年型マシン
フェルスタッペンが「限界付近のタイムに迫ること自体は容易になった」とみているのに対し、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは「安定的に限界付近で走ること自体は難しくなった」との見方を示した。
2026年型は前年までのマシンよりダウンフォースとタイヤのグリップが小さく、ドライバーにとって挙動を予測しにくい側面がある。そこへ風によるグリップの変化や、パワーユニット(PU)のエネルギー回生とデプロイメントが加わる。
電力供給や回生の量が変われば、減速時の挙動や加速の仕方にも違いが生じる。同じ操作をしても、毎周同じレスポンスが返ってくるとは限らない。
昨季以前のマシンは速度そのものが高く、その速さに対応する難しさはあったものの、挙動は比較的一貫しており、ドライバーが対処すべき問題は把握しやすかった。
対して2026年型マシンは、ラップやコーナーごとに異なる問題が突然現れるため、限界走行で一貫したラップをまとめることは、むしろ難しくなったというのがステラの見解だ。
今季に入ってドライバーの技量が求められる度合いが小さくなったというフェルスタッペンの指摘について問われたステラは、次のように答えた。
「そこは確信がない。本当に分からないし、ほかのチームについてコメントすれば正確ではなくなる」
「これはマシンの特性や、ドライバーの特性によっても違うのかもしれない。ただ、マクラーレンでの経験を基にするなら、今年の方が難しいと思う」