F1トスカーナGP:最速タイヤ戦略と残存セット、追い抜き困難なムジェロでの最速ストラテジーは?
新たにカレンダーに加わったムジェロ・サーキットを舞台として、第9戦トスカーナGPの決勝レースが日本時間9月13日(日)22時10分にブラックアウトを迎える。誰もが未経験の59周のレースを制するのは誰なのか? ドライバー毎の残存タイヤセット数と、ピレリが考える最速のタイヤストラテジーをまとめる。
公式タイヤサプライヤーのピレリは、高速である事に加えてアスファルトが攻撃的なムジェロに対し、最も硬いレンジのC1(ハード/白)、C2(ミディアム/黄)、C3(ソフト/赤)のラインナップを持ち込んだ。決勝がドライコンディションで行われる場合、各マシンは最低2種類の異なる硬さのコンパウンドを使用しなくてはならない。ウェットとなればその義務も免除されるが、現地日曜の午後は晴天が予想されている。
決勝に向けての各ドライバーの手持ちタイヤは以下の通り。過去数戦と同様に、ハードとミディアムに関しては全員が少なくとも1セットの新品を保持している。
オールドサーキットのムジェロは鈴鹿のようにコース幅が狭く、また高速セクションが続くため、コース上でのオーバーテイクが困難と考えられている。そのため特に戦略の重要性が高い。1ストップか2ストップか。鍵を握るのはソフトタイヤのデグラデーションとなりそうだが、トスカーナGPの理論上最速と考えられる戦略は2ストッパーだ。
コンディションや天候に大きく左右されるもののピレリは、ソフトタイヤでスタートして19周を走り、その後ミディアムに履き替えて21周を走り、最後に再びソフトに変えてフィニッシュする2ストッパーが理想的と考えている。
初日金曜2回目のフリー走行が2度の赤旗中断を強いられたため、各チームは十分なロングランを消化できておらず、タイヤのデグラデーションが未知数という状況となっている。そのため、ソフトが想定よりも保たなければ先の戦略よりも早めにピットに入り、残りの周回をミディアム、ミディアムと繋いだ方が速いという可能性もある。
タイヤ選択の自由がある11番手以降は、柔軟性に富んだ戦略が可能なミディアムスタートを検討する価値がある。理論上は最も遅いが、ソフトよりも第1スティントを引っ張れる可能性がある分、レース状況に応じてその後の戦略を臨機応変に変える事が可能だ。
F1はムジェロでレースを行った事がないため、各チームにはノウハウや知見、データがない。また、コース全面をグラベルが覆い囲っているため、初日に見られたようにセーフティーカーが導入される可能性も高いと考えられる。柔軟性の確保には価値がある。
いずれにしても、最初のピットウインドウが開くのは概ね16周目以降であり、まずはこのタイミングでの各車の動きに注目したい。
ピレリのレース部門を統括するマリオ・イゾラは「レース序盤のソフトタイヤのデグラデーションを如何にコントロールするかが重要。これが1ストップか2ストップかの分かれ目となるだろう」と語った。
2020年F1トスカーナ・グランプリ決勝レースは日本時間9月13日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周5245mのムジェロ・サーキットを59周する事でチャンピオンシップを争う。