半減したF1プレシーズンテストは新人と移籍組に不利? 旧車での独自テストを計画するチームとそうでないチーム
プレシーズンテストは例年8日間に渡って行われてきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2021年シーズンは半分以下の3日間に制限される。故に、ルーキーや移籍ドライバー達にとってはチームに溶け込みマシンに馴染むのが難しくなる。
冬季テストでは各チームが走らせられるマシンは各々1台に限定される。レギュラードライバー2名でステアリングを供給しなければならず、テストが3日間という事はドライバー1人あたりの走行時間は1.5日しかない。
新天地でシーズンをスタートさせるベテランドライバーは3名だ。セバスチャン・ベッテルはフェラーリからアストンマーチンへ、カルロス・サインツはマクラーレンからフェラーリへ、そしてダニエル・リカルドはルノーからマクラーレンへと籍を移す。
この3名のうち、開幕までに新しいチームの下で独自テストの時間が与えられるのはサインツのみとなりそうだ。
スクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表は、チームやマシンはもとより、エンジニアとの協業や仕事の進め方、オペレーションに馴染む事が重要であるとして、シミュレーターのみならず、1月中に型落ちのF1マシンを使ったプライベートテストを計画している事を明かしている。
F1競技規約第10条2項は、旧シーズン用に設計・開発されたマシンでの独自テストを認めている。これはTPCと呼ばれており、専用のタイヤを装着する義務があるものの走行距離に制限はない。
一方、マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は旧車でのテストの予定はないとしているため、リカルドはプレシーズンテストの1.5日のみであらゆる準備を整える必要がある。英国ウォーキングのチームは今年、ルノーからメルセデスへとパワーユニットを切り替える。
また、アストンマーチンへと改称された旧レーシングポイントのオトマー・サフナウアー代表も旧型マシンでのテストを行う余裕はないとしており、ベッテルもリカルド同様に限られた時間内にクルマとチームの両方に適応する必要がある。
なおルーキーの角田裕毅やミック・シューマッハ、ニキータ・マゼピンにも同様の事が言えるが、不適切動画が物議を醸すマゼピン以外の2名は、わずか1日のみではあるものの12月のアブダビテストで既に準備を進めている。
計画では例年通りスペイン・カタロニア・サーキットでのテストが行われる予定だが、COVID-19パンデミックの影響で開催地がバーレーン・インターナショナル・サーキットに変更される可能性が高まっている。