ピットレーンを高速で通過するRB16とレッドブル・ホンダのピットウォール、2020年F1ハンガリーGPにてcopyright Red Bull Content Pool

苦悩の週末を過ごしたレッドブル・ホンダ…挽回すべく必死になると躓くものだ、とブラウン

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F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは「巻き返しを狙うチームはしばしば障害にぶつかるものだ」と述べ、レッドブル・ホンダの現状を説明する。

パワーが要求されるストレートが1本のみとエンジン全開率が低く、低中速コーナーが続くハンガロリンクは、伝統的にレッドブル・レーシングが得意としてきたコースだった。それは昨年、マックス・フェルスタッペンがキャリア初のポールポジションを獲得した事に象徴される。2009年以降、レッドブル・レーシングはこの地で9度の表彰台を獲得してきた。

が故に、ブタペスト入りする前のライバルチームはミストンキーンズのチームに警戒感を示していた。

ところが蓋を開けてみれば、昨年のバーレーン、中国、アゼルバイジャンの開幕序盤を思い起こさせるように、RB16は一貫性に欠ける神経質な挙動を見せ、3回のプラクティスを通して、赤と紺色に彩られた雄牛のロゴを背負うマシンがトップ5に入る事は一度もなかった。

アレックス・アルボンはマシンの「予測不可能性」に不満を訴え、フェルスタッペンは全方位的に問題があると途方に暮れた。フェルスタッペンはまた、セットアップに問題があるわけではないとも述べ、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「車体側のとある領域が問題と考えられる。幾つかのパーツが不安定で気流の流れが阻害されている可能性がある」と語った。

その一方でアルボンが語ったように、決勝でのレースペースは悪くなかった。今のRB16は特定の条件下で空気力学的に上手く機能していないようだが、その原因についてチームはまだ特定できていない。

「追いつこうと思って走っていると、つまずくことがよくある。今まさにレッドブルに起きているのはそういう事だ」かつて、黄金期のフェラーリを率いたロス・ブラウンは、ハンガロリンクでの週末を終えて、レッドブル・ホンダの状況をこの様に評した。

「彼らはマシンに改善をもたらそうと技術的に必死の努力を積み重ねている。その中には上手く機能したものもあれば、そうならなかったものもある」

「こうしたペースで仕事に取り組んでいると障害にぶつかることがある。ハンガリーGPに向けて準備に取り組んでいた彼らは問題を抱えて躓いていた。だが彼らは潤沢なリソースを持つ経験豊富なチームだ。日曜日には挽回してみせた。だが、依然として巻き返しを図らねばならない立場にある。それも至急だ」

フェルスタッペンはレース当日、レコノサンスラップでまさかのクラッシュを演じ、出走が危ぶまれる状況に追い込まれたが、チームは決して諦めることなく、フェルスタッペンが”クレイジーな12分間”と形容した僅かな時間の中でクルマを完璧に元通りに仕上げてみせた。ロス・ブラウンはここに、レッドブル・ホンダの闘志を見ている。

「レース当日、スタートが間近に迫る中でマックスがマシンに大きなダメージを受けた際、彼らはポテンシャルの高さと高い専門能力を示してみせた。それは驚くべきものだった」とロス・ブラウンは語る。

「私も過去にこうした素晴らしい修復作業を目の当たりにしたことがあるが、それはガレージ内で行われたものであり、あまりに頻繁に公にされてきたわけではない。だが今回の事例は、これまで見たことのないような驚異的で印象的な成果だった」

「レース前にこのようなドラマをチームに与えてしまったことに対して、マックスは大きな罪悪感を感じていたと思う。あの素晴らしい修理作業を見た彼は、決して再びチームを失望させまいと思っていた事だろう」

「マックスは、ただただ並外れた存在だ。週末を通して難しい状況を過ごしてきただけに、グリッドにいたチーム内の誰もが可能だとは思っていなかったであろう結果を、その腕を以てもたらした」

「レッドブルが、一貫して最前列で戦えるだけのマシンをマックスのために必死になって用意しようとしているのは、そういう理由からなのだろう。彼らはそれができれば、ルイス(ハミルトン)に対してチャンピオンシップで挑戦できるチャンスがあることを知っているのだ」

「激しいシーズンとなっている今、ルイスを逃がすわけにはいかないため、マックスもレッドブルも迅速に対応しなければならない事を理解しているだろう。そうでなければタイトルを失う事になるからだ」

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