跳馬同士討ち…メルセデスはレースを支配、ホンダ勢は3-4-10 / F1シュタイアーマルクGP《決勝》結果とダイジェスト
2020シーズンFIA-F1世界選手権 第2戦シュタイアーマルクGP決勝レースが7月12日(日)にレッドブル・リンクで行われ、ルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインを飾り今季初優勝を果たした。2位はバルテリ・ボッタス。メルセデスAMGが1-2フィニッシュでレースを制した。
フロントロー2番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは悔しい3位に終わった。フロントウイングの右翼端板が壊れた事もあり、レース終盤にフレッシュなタイヤを履くボッタスからポジションを守れず後退した。もう一台のRB16をドライブしたアレックス・アルボンは、20周近くに渡ってレーシングポイントのセルジオ・ペレスの猛攻を凌ぎきり4位をもぎ取った。
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アルファタウリ・ホンダ勢はダニール・クビアトが見事10位入賞を果たしてチャンピオンシップポイントを持ち帰った。7番グリッドからスタートしたピエール・ガスリーはマシンにダメージを負ってしまいペースが上がらず、2度のピットストップを経て無念の15位に終わった。
ミッドフィールド最上位はマクラーレンのランド・ノリス。レーシングポイントやルノーとの激しい大接戦を制して5位フィニッシュの大金星を上げた。ペレスは4番手の可能性があったものの最終盤にアルボンとの攻防でフロントウイングを破損し失速。チェッカーまで数百メートルの所で6位に後退した。
もう一台のRP20を駆ったランス・ストロールは、四苦八苦しながらも何とかルノーのダニエル・リカルドを交わして7位でフィニッシュラインを駆け抜けた。
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同じレッドブル・リンクで開催されたオーストリアGPでは9台がチェッカーを受けずにレースを終えたが、今回は3台が涙を飲んだ。スクーデリア・フェラーリの2台は1周目に同士討ちを喫してダブルリタイヤに終わり、エステバン・オコンは冷却に問題を抱えて25周目にヘルメットを脱いだ。
舞台は前戦オーストリアGPと同じく72%という高いエンジン全開率が特徴のレッドブル・リンク。史上初となる同一開催地でのダブルヘッダーとして「シュタイアーマルクGP」の名の下に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に翻弄される2020年シーズンの第2戦として開催された。
公式タイヤサプライヤーのピレリは中間レンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。今季は新型肺炎の影響で各ドライバーの手持ちタイヤは固定制となり、ハード2組、ミディアム3組、ソフト8組が配分されている。前日の予選が雨であったため、各自スタートタイヤを自由に選択。8番手カルド、10番手セバスチャン・ベッテル、13番手クビアト、16番手キミ・ライコネン、18番手ニコラス・ラティフィ、19番手アントニオ・ジョビナッツィの6名がミディアムタイヤでスタートした。
決勝は日本時間12日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周4,326mのコースを71周する事で争われた。現地シュピールベルクは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温20.4℃、路面39.7℃、湿度34.9%、946hPaのドライコンディションで開始された。
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レース前のグリッドには全ドライバーが「End Racism」のTシャツを着て並び、ルイス・ハミルトンを含む一部ドライバーが地面に膝をつくポーズで反人種差別への強い決意を世界中に示した。レコノサンスラップではアレックス・アルボンがコックピット内に何かが落ちたと無線で報告したが、無事にグリッドに並んだ。
注目のオープニングラップでは、ターン1でリカルドとガスリーが軽く接触。続くターン3へのブレーキングでは、イン側に飛び込んだシャルル・ルクレールがベッテルに激突した。
衝撃でルクレールの左リアタイヤは宙に浮き、ベッテルのリアウイングを破壊。これによりセーフティーカーが導入され2台ともがピットインした。ルクレールはハードタイヤに履き替えて最後尾でコースに復帰したが、ベッテルはそのままガレージ内へと運び込まれリタイヤした。
Kimi's view of the Ferrari incident 👀#AustrianGP 🇦🇹 #F1 pic.twitter.com/RzxwEPYsAy
— Formula 1 (@F1) July 12, 2020
レースは4周目にリスタートを迎えるも、フロアを大きく破損したルクレールはペースが上がらず、5周目にピットへと入りベッテルに続きクルマを降りた。ルクレールは自らに非があるとしてチームとベッテルに謝罪した。
後ろから迫るボッタスのアンダーカットを防ぐべく、レッドブルホンダは23周目という早い段階でフェルスタッペンをピットへと呼び、ミディアムタイヤを履かせて3番手でコースに送り出した。トップを快走するハミルトンは28周目にミディアムにチェンジ。ボッタスは35周目にミディアムに履き替え、フェルスタッペンの後方3番手でコースに復帰した。第1スティントを長く引っ張った事が、後のフェルスタッペンとのパフォーマンス差の一因となる。
順調に5番手を走行していたカルロス・サインツ(マクラーレン)は、33周目のピットインの際に左リアタイヤがうまく締まらず5秒近くタイムをロス。手痛いダメージを負った。
レース中盤、ポジションを下げたサインツとペレスとの激しいポジション争いが勃発。ミディアムコンパウンドに履き替えピットアウトした直後のペレスに対して仕掛けたサインツは、4コーナー手前で一旦オーバーテイクに成功するも、続く高速のターン6で勇猛果敢にアウト側から仕掛けてきたペレスにポジションを奪い返されてしまった。圧巻のドライビングを披露したペレスは、この日のDriver of the Day(ドライバー・オブ・ザ・デイ)に選ばれた。
他の追随を許さないペースを刻むブラック・アロー。優勝の芽が潰えたフェルスタッペンは右フロントウィングの翼端板にダメージを抱えての走行を強いられた。レッドブル・ホンダ勢は終盤にかけて、アルボンはペレスに、フェルスタッペンはボッタスにDRS圏内に許してしまい、守りのレースを強いられた。
2020年F1第2戦シュタイアーマルクGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
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1 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 71 | 1:22:50.683 | 25 |
2 | 77 | ボッタス | メルセデス | 71 | +13.719s | 18 |
3 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 71 | +33.698s | 15 |
4 | 23 | アルボン | レッドブル | 71 | +44.400s | 12 |
5 | 4 | ノリス | マクラーレン | 71 | +61.470s | 10 |
6 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 71 | +62.387s | 8 |
7 | 18 | ストロール | レーシングポイント | 71 | +62.453s | 6 |
8 | 3 | リカルド | ルノー | 71 | +62.591s | 4 |
9 | 55 | サインツ | マクラーレン | 70 | +1 lap | 3 |
10 | 26 | クビアト | アルファタウリ | 70 | +1 lap | 1 |
11 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 70 | +1 lap | 0 |
12 | 20 | マグヌッセン | ハース | 70 | +1 lap | 0 |
13 | 8 | グロージャン | ハース | 70 | +1 lap | 0 |
14 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 70 | +1 lap | 0 |
15 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 70 | +1 lap | 0 |
16 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 69 | +2 laps | 0 |
17 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 69 | +2 laps | 0 |
NC | 31 | オコン | ルノー | 25 | DNF | 0 |
NC | 16 | ルクレール | フェラーリ | 4 | DNF | 0 |
NC | 5 | ベッテル | フェラーリ | 1 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
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気温 | 20.4℃ |
路面温度 | 39.7℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1シュタイアーマルクGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | レッドブル・リンク |
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設立 | 1969年 |
全長 | 4318m |
コーナー数 | 10 |
周回方向 | 時計回り |