シンガポールGPマリーナベイ市街地コースの表彰台にあがるレッドブルのセルジオ・ペレス
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角田裕毅含む6台DNF、5秒加算もペレス今季2勝目!タイトルは日本GP以降に / F1シンガポールGP《決勝》結果とダイジェスト

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2022シーズンFIA-F1世界選手権第17戦シンガポールGP決勝レースが10月2日にマリーナベイ市街地コースで行われ、予選2番グリッドのセルジオ・ペレスが今季2勝目、キャリア通算4勝目を飾った。

ペレスはスタートでシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜き去りトップに浮上すると、タイヤ摩耗、ウェットからドライへと移り変わる路面条件、幾度にも渡って導入されたセーフティーカー(SC)といったあらゆる課題に直面しながらも、一歩も譲らない走りを見せた。

シンガポールGPマリーナベイ市街地コースで優勝しクルーに囲まれるレッドブルのセルジオ・ペレスを祝うCourtesy Of Red Bull Content Pool

2022年10月2日のF1シンガポールGPで優勝を飾り、クルーに祝福されるレッドブルのセルジオ・ペレス

レース終了後に、SCとの車間を10車身以内に抑えなければならないとするF1スポーティング・レギュレーション第55条10項に関して2度に渡って違反した疑いがあるとの事で審議が行われた。

10周目の違反については情状酌量の余地があるとして戒告処分(ドライビング / 今季1回目)が、36周目の件については5秒加算ペナルティとペナルティポイント2点(累計2点)との裁定が下り、2.595秒差でリードを維持。今季2勝目を確定させた。

ペレス、2回のSC規定違反で罰則も優勝維持

3位表彰台にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が上がり、4位にランド・ノリス、5位にダニエル・リカルドと、マクラーレン勢がベスト・オブ・ザ・レストの大量ポイントを獲得した。

マクラーレンとコンストラクター4位争いを繰り広げるフェルナンド・アロンソとエステバン・オコン擁するアルピーヌ勢は共に、テクニカルトラブルによってリタイヤを強いられた。いずれもエンジントラブルが疑われる。

ドライバーズタイトルの連覇は次戦、鈴鹿F1日本GP以降に持ち越しとなった。

燃料不足からポール相当ラップを中断せざるを得ず予選8番手に甘んじたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は一時、5番手にまで挽回したものの、自身のミスによって13番手にまで後退。ただ、残り19周で8台を交わし、6位ランス・ストロール(アストンマーチン)に続く面目躍如の7位でレースを終えた。

今季初優勝の期待が寄せられたルイス・ハミルトン(メルセデス)は32周目まで3番手を走行していたものの、コーナーを曲がりきれずにバリアに衝突。レースは続行したものの、8位セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)に続く9位に終わった。

入賞圏内最後の10位にはピエール・ガスリーが滑り込んだ。アルファタウリのチームメイト、角田裕毅はスリックタイヤへの変更によって難しい状況に置かれたとは言え精彩を欠き、ミスによって34周目にクラッシュを喫してリタイヤに終わった

開始80分を前に大雨に見舞われたことで決勝は65分遅れの日本時間2日(日)21時5分にフォーメーションラップが開始された。

スタート時のコンディションは気温26.3℃、路面30℃、湿度81%、気圧1008hPaのウェット。中盤以降はスリックタイヤの舞台となり、C4コンパウンド=ミディアムが主役を務めた。

1周5,063mのマリーナベイ市街地コースでのレースは61周が予定されていたが、度重なるSC導入によって2時間制限ルールに引っかかり、59周目にチェッカーフラッグが振られた。

レース概要

全車インターミディエイトタイヤを装着してグリッドに着いた。ジョージ・ラッセル(メルセデス)は決勝を前にパワーユニット一式を交換。ピットレーンからスタートした。

注目のオープニングラップではペレスがターン1でルクレールを交わしてトップに浮上した一方、僚友フェルスタッペンはクラッチを滑らせアンチストールに入った事で大きく出遅れポジションを4つ落とした。

ハミルトンはサインツとの接触を避けるためにコース外に飛び出し4番手に後退。ベッテルは1つ、角田裕毅も1つポジションを上げた。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)はスピンを喫してコース外に飛び出し最後尾に転落した。

ケビン・マグヌッセン(ハース)はフェルスタッペンとの接触の影響で翼端板を破損。レースコントロールはオレンジボール・フラッグを提示した。

最初のSC導入は7周目、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)に壁に追いやられる格好となり周冠宇(アルファロメオ)がクラッシュ。ターン5でクルマを停めた。ラティフィはパンクに見舞われピットに戻った後、ヘルメットを脱いだ。黄旗の後に1回目のSCが導入された。

レースは11周目に再開された。フェルスタッペンは追い抜きあぐねていたベッテルを攻略して8番手に浮上。その直後にはあっという間にガスリーを交わして7番手にポジションを上げた。

一旦レースが落ち着くとコース上のアクションは殆どなく硬直状態に。変わらずオーバーテイクが難しいコースである事が証明された。

21周目、6番手を走行していたアロンソがコース脇にクルマを停めた事でバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入された。エンジントラブルが疑われる。

このタイミングでラッセルのみがタイヤ交換に動き、先陣を切って大博打のミディアムに履き替えたものの、コンディション的には完全に時期尚早。ズルズルと後退していった。

この間に角田裕毅はあわやクラッシュというシーンを演じて12番手に後退した。

26周目、アルボンが車体正面からターン8のバリアに突っ込み、2回目のVSCが導入された。フロントウイングを失ったアルボンは自走してピットまで戻ったものの、クルマをガレージに納めた。

VSC解除直後の28周目には、オコンが車体後方から白煙を吐きターン13でストップ。2回目のVSCが導入された。

32周目には4番手を走行していたハミルトンがターン7でテックプロに衝突。表彰台争いから脱落した。

先行スリックのラッセルのラップタイム改善が確認されると、33周目にアルファタウリ勢、 バルテリ・ボッタス、マグヌッセンが相次いでスリックタイヤに交換した。

翌周に2番手ルクレールがミディアムタイヤに履き替えると、続いてラップリーダーのペレス、繰り上がり2番手を走行していたサインツの両名が相次いでミディアムに交換した。

ピットが慌ただしさを増していた34周目、角田裕毅がターン10のバリアに突き刺さりクルマを降りた。2回目のSCが導入された。

レースが再開されると同時にフェルスタッペンはノリスを強襲。ところが勢い余って大量の白煙と共にタイヤをロックアップさせ、エスケープゾーンに飛び出して8番手に後退。フラットスポットを作ったためにソフトタイヤへの交換を余儀なくされ、12番手でコースに復帰した。

時を同じくしてラッセルは、ミック・シューマッハ(ハース)とのサイド・バイ・サイドの攻防の際に接触し、右リアをパンクさせ失速した。

2時間ルールに則りカウントダウンが始まると、残り27分でDRSが解禁。エンジンのドライバビリティ問題が再発した事でペレスは一時、ルクレールに急接近を許したが、セッティング変更を経て速さを取り戻した。

残り15分を切ったところでフェルスタッペンは、ボッタスとガスリーを立て続けに捉えてポイント圏内の9番手に復帰した。

残り1分半では、ベッテルに仕掛けたハミルトンがエスケープに飛び出した好機を見逃さず8番手に浮上。ファイナルラップでベッテルを交わすと7位でフィニッシュした。

SCの手続き違反で5秒ペナルティが科される可能性を知らされたペレスは、終盤に驚異的なペースを刻み続け、ルクレールに7.6秒差をつけトップチェッカーを受けた。

2022年F1第17戦シンガポールGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 11 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 59 2:02:15.238 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 59 +7.595s 18
3 55 カルロス・サインツ フェラーリ 59 +15.305s 15
4 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 59 +26.133s 12
5 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 59 +58.282s 10
6 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 59 +61.330s 8
7 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 59 +63.825s 6
8 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 59 +65.032s 4
9 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 59 +66.515s 2
10 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 59 +74.576s 1
11 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 59 +93.844s 0
12 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 59 +97.610s 0
13 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 58 +1 lap 0
14 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +2 laps 0
NC 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 34 DNF 0
NC 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 26 DNF 0
NC 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 25 DNF 0
NC 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 20 DNF 0
NC 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 7 DNF 0
NC 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 6 DNF 0

コンディション

天気
気温26.3℃
路面温度30℃
周回数59

セッション概要

グランプリ名 F1シンガポールGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 マリーナベイ市街地コース
設立 2008年
全長 5063m
コーナー数 23
周回方向 反時計回り

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