2023年F1サウジアラビア 決勝レポート:アロンソを巡る混乱裁定…緊迫もレッドブルが2戦連続で圧勝、角田裕毅また惜敗
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2023シーズンのFIA-F1世界選手権第2戦サウジアラビアGP決勝レースが現地3月19日にジェッダ市街地コースで行われ、セルジオ・ペレス(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾った。角田裕毅(アルファタウリ)は惜しくも2戦連続の11位という結果に終わった。
決勝は日本時間19日(日)26時にブラックアウトを迎え、1周6,174mのコースを50周する事で争われた。現地ジェッダは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温26℃、路面31℃のドライコンディションで開始された。
公式タイヤサプライヤーのピレリは2番目に柔らかいレンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。レースは1ストッパーが圧倒的主流となり、ミディアムとハードの組み合わせが好んで用いられた。
緊迫もレッドブルが再び圧倒、フェルスタッペン逆転劇
ドライブシャフトの破損により予選Q2敗退を喫して15番グリッドに着いたマックス・フェルスタッペンは軽々とライバルを抜き去っていき、レース折り返しを前に2番手にまで浮上した。
その後は首位を走るペレスとの間でファステストを取り合いながらの激しい優勝争いを展開。レッドブルの2台は後続との差を一気に広げていき、RB19の支配的なペースを改めて知らしめた。ライバルは全く為す術がなかった。
ただ終盤に向けてフェルスタッペンが無線を通して異音がすると報告。予選を奪い去ったドライブシャフトへの懸念を示した。ペレスもまた、ブレーキに不安を抱えてピットに状況を尋ねる場面があった。
2台を無事に持ち帰る事を優先すべくチームはペースを落とすよう指示したが、手を緩めようとしないフェルスタッペンに対する疑念が拭いかねないペレスは受け入れようとはせず、最終的にはドライバーにバトルを認めた。
緊張に包まれたピットウォールとは裏腹にペレスはトップチェッカーを受け、フェルスタッペンも5.355秒遅れの2位で無事にフィニッシュ。レッドブルが開幕2戦連続での1-2を飾った。
本来であればドライバーズ・ランキングでペレスに並ばれるところであったが、フェルスタッペンはファイナルラップでファステストをマーク。ボーナスの1点を加えた事で首位の座を辛うじて守った。
また世界中のファンはこの日のDriver of the Dayにフェルスタッペンを選出した。フェルスタッペンは26.3%、ペレスは19.8%の得票率を得た。
アロンソ、表彰台剥奪からの逆転勝訴
最前列2番グリッドからスタートしたフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は1周目にペレスを抜き去り一時的ながらもラップをリード。その後も見事なレースを戦い、セレモニーで3位表彰台に上がった。キャリア通算100回目ポディウムとなるはずだった。
ところがピットストップの際にスタートポジション違反による5秒ペナルティを適切に消化しなかったとして、レース後に10秒ペナルティが科された。5秒を経過する前にリアジャッキがAMR23に接触したと判断された。
2週間前の開幕バーレーンGPでも同様の理由によりエステバン・オコン(アルピーヌ)が10秒ペナルティを科された。
レースを前にアロンソは、グリッドボックスから左にはみ出してクルマを停めた。レース中、スタートポジションに問題があった無線を通して知らされた際、冷静に「了解」とだけ返した。
ペナルティの結果、5位ルイス・ハミルトン(メルセデス)に対しては順位を守ったものの4位に後退。代わってジョージ・ラッセル(メルセデス)が3位に昇格したかに思われた。
ところが、アストンマーチンからの再審請求を経てスチュワードはペナルティを撤回した。この結果、アロンソが表彰台に返り咲いた。クルマへのジャッキの接触が「FIAとチーム間の合意」か否かが問われた。
もう1台のAMR23をドライブしたランス・ストロールは18周目、クルマを停めるよう指示されターン13に停車した。これによりレース唯一のセーフティカー(SC)が導入された。
ルクレール健闘もフェラーリ、メルセデスに完敗
予選2番手ながらも今季エンジン交換ペナルティ第一号となったシャルル・ルクレール(フェラーリ)は12番グリッドからスタート。ソフトを履いた第1スティントではフェルスタッペン同様、フィールドを駆け上がっていった。
ただハードタイヤに履き替えた第2スティントでは失速。前を行くメルセデス勢との差を全く詰めることが出来ず放送禁止用語を使ってペース不足に暴言を吐き、6位フィニッシュした僚友カルロス・サインツに続く7位でレースを終えた。
ブラフを使って先行するストロールを早期ピットインさせたところまでは良かったが、フェラーリは今後に向けて大きな課題を残す事となった。
アルピーヌが中団勝利、角田僅差で泣く
ポイント圏内最後の3枠の内の2枠はエステバン・オコンが8位、ピエール・ガスリーが9位とアルピーヌが占拠した。
角田裕毅はこの日も光る走りを見せた。第1スティントを引っ張った事でSC導入によるゲインを得て、残り4周の途中まで10位を死守していたが、ケビン・マグヌッセン(ハース)に交わされ惜しくも2戦連続の11位に終わった。
リタイヤは2台。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)はブレーキトラブルを抱えて失速し、27周目にガレージにクルマを入れ、ストロールともどもチェッカーを前にレースを終えた。
2023年F1第2戦サウジアラビアGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | ペレス | レッドブル | 50 | 1:21:14.894 | 25 |
2 | 1 | フェルスタッペン | レッドブル | 50 | +5.355s | 19 |
3 | 14 | アロンソ | アストンマーチン | 50 | +20.728s | 15 |
4 | 63 | ラッセル | メルセデス | 50 | +25.866s | 12 |
5 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 50 | +31.065s | 10 |
6 | 55 | サインツ | フェラーリ | 50 | +35.876s | 8 |
7 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 50 | +43.162s | 6 |
8 | 31 | オコン | アルピーヌ | 50 | +52.832s | 4 |
9 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 50 | +54.747s | 2 |
10 | 20 | マグヌッセン | ハース | 50 | +64.826s | 1 |
11 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 50 | +67.494s | 0 |
12 | 27 | ヒュルケンベルグ | ハース | 50 | +70.588s | 0 |
13 | 24 | 周冠宇 | アルファロメオ | 50 | +76.060s | 0 |
14 | 21 | デ・フリース | アルファタウリ | 50 | +77.478s | 0 |
15 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 50 | +85.021s | 0 |
16 | 2 | サージェント | ウィリアムズ | 50 | +86.293s | 0 |
17 | 4 | ノリス | マクラーレン | 50 | +86.445s | 0 |
18 | 77 | ボッタス | アルファロメオ | 49 | +1 lap | 0 |
NC | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 27 | DNF | 0 |
NC | 18 | ストロール | アストンマーチン | 16 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 26℃ |
路面温度 | 31℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1サウジアラビアGP |
---|---|
レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | ジェッダ市街地コース |
---|---|
設立 | 2021年 |
全長 | 6175m |
コーナー数 | 27 |
周回方向 | 反時計回り |