
鈴鹿でのマルチストップ義務は無意味―サインツ、”退屈問題”の改善策を提案
2025年F1第3戦日本GPでは、コース上でのオーバーテイクが限られたことから「退屈だった」との意見がドライバー陣から相次いだが、その対策としてマルチストップを義務付けることは鈴鹿において無意味だとカルロス・サインツ(ウィリアムズ)は考えている。
第4戦バーレーンGPを前にサインツは、「F1でオーバーテイクが生まれるのは、前走車両に対して十分な速さがある時に限られる。0.1秒速いだけじゃ抜けない。鈴鹿のようなサーキットでは、0.5〜0.7秒は速くないと無理だ」と語った。
モナコでは今年、レース展開の多様化を促すため、例外的なルールとして、レース中のタイヤ交換義務が1回から2回に倍増される。
これについてサインツは、「仮に鈴鹿で3種類のタイヤ使用を義務付けたとしても、全員が同じ周に同じタイヤでピットインするだけで、結局オーバーテイクが生まれるような“差”はできない」と述べ、マルチストップの義務化は本質的な解決策にはなり得ないと主張した。
その“差”を生み出す鍵は、タイヤのデグラデーション(性能劣化)にあるとサインツは考えている。
「もっと柔らかいコンパウンドを持ち込めば、デグラデーションが増えて追い抜きのチャンスも増える」と提案し、「1ストップと2ストップが混在するレース展開を促すような運用がベスト」だと述べた。
「そうすれば、デグラが高めの1ストップを試すチームと、2ストップで速さを活かして逆転を狙うチームが分かれ、戦略的な駆け引きが生まれる」
ピレリは2025年に向けて、ドライバーからの要請に応じてオーバーヒート性能を改善したが、これによって1ストップ戦略が主流となり、レースが単調になっているとサインツは分析している。
サインツは「僕らが求めてきた方向にピレリは応えてくれた。なのに今度は“デグが足りない”と文句を言うのはおかしい」と語り、「ピレリに一貫した目標を持ってもらうために、僕らの意見を整理する必要があると思う」と付け加えた。
一方でジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)は、再舗装された路面と低い低温によってタイヤマネジメントが容易になったことが、追い抜きの減少に影響したと指摘。今週末のバーレーンでは「気温が高く風も強くなる予報が出ているため、状況は一変するだろう」との見方を示した。