新型ウイルス:アルファタウリ・ホンダと跳馬なしにレースをするのは不公平、とダニエル・リカルド
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がイタリアで猛威を振るう中、ルノーF1チームのダニエル・リカルドは、同国を本拠として多数のイタリア人スタッフを抱えるアルファタウリ・ホンダやフェラーリが、入国制限のためにイベントに参加できない状況でレースを開催するのは不公平だとの考えを示した。
70周年を迎えるF1の歴史の中で、最も古く最も成功したチームの母国は今、死者79名、累積感染者数2,502名を数えており(3月3日18時現在当局発表)、ヨーロッパの中で最も深刻な状況に陥っている。そのため、4月5日に初のグランプリ開催を控えるベトナムなど一部の国では、イタリアからの入国者や滞在歴を持つ者に対して2週間の検疫期間を課している。
豪州政府は5日より、イタリアからの入国者に対する医療スクリーニングと検温措置を強化しているものの、入国制限は中国とイランに留めておりイタリアは含まれていない。とは言え状況は日毎に変化しており、依然としてイタリア系F1チームへの懸念は晴れていない。
「グリッドが全部埋まっていない状態じゃレースはできない。僕には10チーム、20名のドライバーがいない状況でレースをするのは正しいと思えない」とダニエル・リカルド。オーストラリアGPが開催されるメルボルンの日刊紙The Ageとのインタビューに応えた。
「例えば、フェラーリとアルファタウリが欠場を強いられて僕らだけがレースをする状況を仮定した場合、フェアとは言えない。それは技術的な問題でレースへの参戦資格を取り消されるのとは訳が違う。(出走できないチームがいる状況でレースをするのは)単純に正しくない」
「そんな状況での優勝なんて誰も望んじゃいない。フェラーリやメルセデス、レッドブルが(オーストラリアに)来ない理由があったと仮定して、その状況で僕がメルボルンで勝ったとしようか。すごく浅はかな勝利だし、何も意味がない」
F1側もスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンが同様の認識を示しており、仮にオーストラリア連邦政府がイタリアからの入国者に制限を課し、それが原因でレースに出走できないチームが出た場合、グランプリは中止あるいは延期される見通しとなっているが、既にチームの大半は入国済みと伝えられている。
また、仮に不参加チームが発生した場合、出走可能なチームのみでチャンピオンシップから独立した形での”非世界選手権レース”が行われる可能性が指摘されているが、ダニエル・リカルドは「それは更に良くないことだ。全員参加かゼロか。2つに1つだ」と語った。
ビクトリア州政府およびオーストラリアGPコーポレーションのアンドリュー・ウェストコットCEOは「現時点では更なる渡航制限の兆しはない」としており、日本時間3月6日15時現在、F1オーストラリアGPはカレンダー通り3月13日(金)に開幕を迎え、15日(日)に決勝レースが行われる予定だ。