レッドブル、トロロッソ・ホンダでのシューマッハ起用の噂に言及
今年9月、一部欧州メディアが来季トロロッソ・ホンダの候補者リストの中にミックの名前があると報じ、シューマッハの名がF1世界選手権にカムバックのではとの期待が高まった。最終的に噂は噂のままでフェードアウトする事となったが、実際のところ、ミック・シューマッハがレッドブル陣営に加わる可能性はあるのだろうか?
7度のF1ワールドチャンピオンを父に持つミックは今年、ヨーロッパF3選手権でタイトルを獲得。参戦2シーズン目にしてポールポジション7回、優勝8回、ポディウム13回と才能を開花させた。同シリーズにはレッドブル育成傘下のダン・ティクタムも参戦していたが、ミックには及ばず選手権2位に留まった。
チャンピオン獲得によってF1出走要件であるスーパーライセンスの取得条件を満たした事から、一時はブレンドン・ハートレーに代わって2019年のスクーデリア・トロロッソでF1デビューするのではとの噂が流れたが、最終的にF3で在籍していたプレマ・レーシングからFIA-F2選手権にステップアップする事が発表された。
レッドブルのご意見番、Dr.ヘルムート・マルコはMotorsport Magazinに対して「彼が我々のリストに入っていた事は一度もない」と語り、その理由としてフェラーリの存在を仄めかした。「彼には既に”良い取り巻き”がいるからね。我々がこれまで一度も彼に関心を示していない理由はそこにある」
プレマはイタリアを本拠地とするレーシングチームで、これまでにアントニオ・ジョビナッツィやシャルル・ルクレールを輩出している事からも明らかなように、スクーデリア・フェラーリとの関係が深い事で知られる。ミックとプレマの付き合いは、イタリア・フォーミュラ4選手権に参戦した2016年に始まった。
他の様々なスポーツと同じ様に、F1においても青田刈り、すなわち才能あふれる若手ドライバーの囲い込みが盛んだが、現時点ではミックはどの自動車メーカーの育成プログラムにも加入しておらず、独立した立場にある。何故、フェラーリもレッドブルも手垢をつけないのか?フェラーリのマウリツィオ・アリバベーネ代表は、レーシング業界には”禁断の不文律”があると示唆する。
「彼はフェラーリの歴史に刻まれた”名”を持っている。もちろんマラネロの門戸は常に開かれているが、段階を経る事が重要だ。これは”ファミリー”の判断だ。私が意味しているのは、シューマッハ家が下した決断、という事だ」
ルイス・ハミルトンが指摘するように、”シューマッハ”の名を持つ以上、ミックがF1に昇格するのは時間の問題。フェラーリの息が掛かるザウバーでのデビューが濃厚だが、メルセデスのトト・ウォルフ代表は「我々と共に戦う可能性もある」と述べ、獲得に意欲を示している。
ミック・シューマッハがF1デビューを果たす最短のシナリオは2020年だが、翌21年に控える大規模レギュレーション変更を考えれば、2020年までの2年間は直下のF2で腕を磨き、序列がリセットされる21年のタイミングでF1に進むのがベストと言える。