レッドブルRB14とトロロッソ・ホンダSTR13copyright Getty Images / Red Bull Content Pool

ホンダとの提携が失敗に終わった場合、F1を撤退してWECへ転向する可能性もあるとレッドブル

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ホンダとの提携が上手く行かない等して再びカスタマーチームに戻るような事態に直面した場合、レッドブル・レーシングはF1での活動を終了させ、ル・マン24時間レース擁するWEC世界耐久選手権へ転向する可能性がある。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは英Autosportのインタビューの中で、新時代のF1ルール策定を進める米リバティ・メディアに対して脅しをかけると共に、”プランB”の一端を明かした。

「エンジンレギュレーションやコンコルド協定の見通しが立たない限り、我々レッドブルもホンダも決断のしようがないが、今までのようなカスタマーチームに戻るつもりは毛頭ない」

「物乞いをした挙げ句に約束が守られないような状況などゴメンだ。F1ではなく他のレースシリーズに参戦するという手もあるわけで、撤退も一つの選択肢だ」

レッドブルは今年いっぱいを以て、12年間に渡って共にF1を戦ったフランスのエンジンメーカーとのカスタマー契約を終了。2019年はホンダと手を結び、ワークスチームとして復活する。だが、契約は現行レギュレーションとコンコルド協定が満了する2020年まで。ホンダとのプロジェクトが功を奏さず決別という結果に終わった場合、レッドブルは再びカスタマーの烙印を押される可能性がある。

F1は2014年に2.4リッターV8エンジンに代えて1.6リッターV6ハイブリッド・ターボを導入。勢力図は大きく塗り替えられる事となり、セバスチャン・ベッテルと共にチャンピオンシップ4連覇という偉業を達成したミルトンキーンズのチームは、メルセデスやフェラーリに遅れを取り選手権争いから脱落した。

市販車業界のエコ化の流れを受けて策定された現行規約は2020年までとなっており、F1を所有するリバティ・メディアとFIA国際自動車連盟は現在、2021年以降の新しいレギュレーションと商業協定の作成に着手している。

規約検討チームは、高価で市販車への転用が難しいとされる熱エネルギー回生システム(MGU-H)の廃止を目指していたものの、既存マニュファクチャラーの反対によって頓挫。当初、アストンマーチンやポルシェなど複数のメーカーが新規参戦に興味を示していたが、MGU-Hが継続されるとなればF1に新しいエンジンメーカーが加わる可能性はゼロに等しい。

商業協定においても進捗は芳しく無く、コスト上限案の実現と分配金のあり方や拒否権の見直しが実現するかどうかは不透明な状況が続いている。

仮にF1を撤退した場合、レッドブルはどうするのだろうか? ヘルムート・マルコは、タイトルスポンサーを務めるアストンマーチンが参戦している国際耐久レースへのエントリーが一つのオプションだと説明する。

「ハイパーカー規約が実現されれば、ヴァルキリーでル・マンに参戦するという事もあり得るだろう。我々はアストンと共にあのクルマを作り上げたが、実にセンセーショナルな出来栄えで、あっという間に完売した。ヴァルキリーは(F1と並び)レッドブル・テクノロジーズにとってのもう一本の大黒柱なのだ」

ヴァルキリー AMR PRO CG画像
アストンマーチン・ヴァルキリー AMR PRO

F1と同じFIA国際自動車連盟が統括するWEC世界耐久選手権は、2020/2021年シーズン以降のテクニカルレギュレーションの骨子の中で、現行のLMP1クラスに代えてハイパーカーを導入する案を示している。ヴァルキリーは、レッドブルとアストンマーチンの共同開発によって生み出された究極のハイパーカーで、市販車仕様のロードモデルとサーキット仕様のAMR PROの2つのラインナップを持ち、空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイが設計を担当した。

WECはレッドブルにとってうってつけのシリーズと言えるが、ヘルムート・マルコは、新しいコンコルド協定でコストキャップ案が実現すれば、F1を撤退せずとも同シリーズに参戦する可能性があるという。

「望んではいないが、コストが制限されれば人員整理をしなくてはならない。その場合、コスト削減のためにF1部門から去る人材をルマンのようなプロジェクトに回す可能性がある」

F1ではレギュレーション変革やコンコルド協定更新のたびに、撤退や別シリーズの立ち上げ話が降って湧くのが通例。エナジードリンクを販売するためのマーケティング媒体としてF1に匹敵する後釜が見つからない限りは、多少の事でレッドブルが撤退する事はないだろう。