18インチF1タイヤと13インチF1タイヤの比較
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F1、2021年に大口径18インチ扁平タイヤを採用!規約改定でタイヤブランケットが廃止に

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フォーミュラ1は2021年に18インチ扁平タイヤ(ロープロファイルタイヤ)を採用しタイヤブランケットを廃止する。FIA国際自動車連盟が示した2021年以降のタイヤレギュレーション案によって明らかとなった。

近年の自動車業界においてはホイールが大口径化しており、いまやスポーツカーでなくとも18インチ履くを市販車は珍しくはない。軽自動車に限ってみても純正で16インチという車種もある。だが、4輪フォーミュラの最高峰F1は、外径670mmの肉厚タイヤに13インチホイールを履いており、市場のトレンドとは大きく乖離している。

2014年に一度、ピレリはシルバーストンで開催されたインシーズンテストで18インチ大口径扁平タイヤをテストしているが、当時はホイールの大型化によってマシン外観がどのように変化するのかを確認したのみに終わっている。

18インチタイヤを履いたロータスF1のマシン
© Pirelli、18インチタイヤを履いたロータスF1のマシン

2011年からF1にタイヤを単独供給してきたピレリの契約は2019年までとなっており、FIA国際自動車連盟は7月19日、2020年から2023年までのシーズンにF1にタイヤを供給する公式サプライヤーの公募を開始。発表された要項の中で、新しいサプライヤーにとって2年目のシーズン以降のレギュレーション骨子が示された。

  • リム径:13インチから18インチに拡大
  • フロント:リム幅305mmから270mmに縮小
  • リア:リム幅405mmを維持
  • ダイヤブランケットの廃止
  • 3種類のコンパウンドを提供
  • ハード+1秒=ミディアム、ハード+2.2秒=ソフト

目玉の一つはタイヤブランケットの廃止。ピット内で予めタイヤを温めておくことで、コースインした瞬間にタイヤを作動温度領域に入れるための保温装置が、コスト削減を理由に禁止される。現行タイヤは火傷する程の高温状態でのみ適切なグリップが生まれるが、新規約においてはピットアウト時の冷えた状態でも安全かつ適切なパフォーマンスを発揮する事を求める。

今年7種類と多様化しているコンパウンドは「ハード」「ミディアム」「ソフト」と3種類の呼称に整理され、各々の性能差が厳格に要求される。中間コンパウンドのミディアムは最も硬いハードよりも1秒/1周速く、最も柔らかいソフトはハードよりも2.2秒/1周速くなるよう製造する必要がある。

性能劣化、すなわちデグラデーションに関しても目標が設定されている。レース周回数が50周のグランプリの場合、ソフトは5周で2秒落ち、ミディアムは9周で2秒落ち、ハードは11周で2秒の性能低下を実現させなければならないとされている。

新しいタイヤサプライヤーがF1での供給をスタートさせるのは2020年からであるが、新しい規約が有効となるのはその翌年の21年。すなわち、ピレリ以外のメーカーが新規参入しようとする場合、そのメーカーは2020年までの13インチタイヤとそれ以降の18インチの2種類を開発・製造しなくてはならず、事実上ピレリが継続するのはほぼ疑いない状況となっている。