
レッドブル「翻意」でメルセデス包囲網が完成か、2026年F1圧縮比論争に急展開
2026年シーズンの開幕を1か月後に控え、新世代F1パワーユニットの圧縮比を巡る論争が新たな局面を迎えている。今週立て続けに開催された2回の会合を経て、当初はメルセデス寄りと見られていたレッドブルが、ライバル陣営側に回った可能性が取り沙汰されており、規定変更の可能性が僅かながらも現実味を帯びてきた。
レッドブル翻意、崩れた共闘関係
当初、レッドブルはメルセデスと同様、最大16:1と定められた圧縮比規定の抜け穴を利用し、アドバンテージを得る立場にあると推測されていた。
しかしながら、期待したほどの性能向上が得られなかった、あるいはメルセデスの優位性を削ぐ方が得策だと判断したのかは定かでないが、フェラーリ、アウディ、ホンダを含む規定変更陣営と足並みを揃えた、あるいは足並みを揃える可能性があると、複数の欧州専門メディアが一斉に報じた。
事実とすれば、これはルール変更に必要とされる「スーパーマジョリティ」の条件を満たすための、極めて重要なステップとなる。バルセロナ・シェイクダウンで明確なリードを示しているように見えたメルセデスへの対抗心が、この異例の4社連合を結実させたようにも映る。
PUACで議論された新計測法
2月1日(月)には技術専門家による会合が、そして2月5日(木)にはパワーユニット諮問委員会(PUAC)の会合が相次いで開催された。これらの場では、圧縮比の測定方法が最優先の議題として扱われたとされる。
規定変更陣営は、現行の「常温での静的検査」では不十分であるとして、実走行に近い条件下での厳格なチェックを強く求めている。具体的には、エンジンを一度作動させて温まった状態で測定を行う熱間測定や、走行中のデータをリアルタイムで監視するセンサーの導入などが提案されているとみられている。
イタリアの一部メディアは、この2回の会合を経てFIAが圧縮比の測定方法変更に同意したと報じたが、イギリスの専門メディア『The Race』は複数の関係者の話として、「そのような事実はまったくない」と否定している。
いずれにしても、一連の会合を通じて、規定変更に向けた議論が急速に進展している可能性は高い。仮にレッドブルが立場を覆したとすれば、メルセデスにとっては開幕直前に「包囲網」が完成することを意味するだけに、その影響は極めて甚大だ。
3月1日のデッドライン、FIAとFOMの決断は
それでも、反メルセデス連合が求める形、すなわち3月の開幕戦オーストラリアGPまでに規則変更が実現するかどうかは不透明だ。
即時の変更には、メーカー4社に加え、国際自動車連盟(FIA)とF1マネジメント(FOM)の賛成票が不可欠となる。だが、メルセデスのチーム代表トト・ウォルフによれば、モハメド・ベン・スレイエム会長を含むFIAは、これまで一貫してメルセデスを支持する姿勢を示してきたとされる。FIAとFOMは、技術的な事項では通常、足並みを揃えて投票する。
開幕直前での規則変更は、極めて大きな影響を及ぼしかねない。勢力図への影響にとどまらず、パワーユニットの最終ホモロゲーションは3月1日に迫っており、各メーカーに設計変更のための時間的猶予は残されていない。
よって、仮に新たな測定方法が決定されたとしても、実際の適用は2027年以降となる可能性も否定できない。
オーストラリアGPでの開幕を目前に控え、パドックの関心はプレシーズンテストにおけるラップタイムや周回数だけでなく、FIAが下す最終判断に注がれることになりそうだ。