2019年F1オーストラリアGPの金曜記者会見に出席したマッティア・ビノット、クリスチャン・ホーナー、トト・ウォルフ、シリル・アビテブールの各チーム代表
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コロナショックはリーマンと別次元…レッドブル、F1の存続を確信も「全チームが生き残れるかどうかは別」

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リーマン・ショックを凌ぐ経済的ダメージをもたらしかねない「コロナ・ショック」。レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、F1が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済的な困難を切り抜ける事は疑いないとする一方で、現在参戦している全てのF1チームが生き残れるかどうかは別問題だと主張する。

COVID-19の世界的流行で2020年シーズンのF1選手権カレンダーは現時点で8レースを失った。F1はレース開催料、放送権料、スポンサーシップ料の3つを主要な収入源としているが、レースが開催できなければこれら全てが打撃を受けることになる。

F1は脅威にさらされているのか?

レース開催数の減少はそのまま収入の減少を意味するが、最終的にどれだけの損失を被るかについては不確実性が大きく正確には分からない。仮に今季のスケジュールが全て白紙となれば、極端な話、収益はゼロとなり、コスト分が赤字となって経営を直撃する。

F1世界選手権は70年の歴史を以て終わりを迎えるのだろうか? 否。心配すべきは他にある。

例えばF1を所有するリバティ・メディアの経営が傾いたとしても別の買い手が現れる可能性は高く、どんな形にせよ今回の危機によってシリーズそのものが消滅する事は考えにくい。だが、現在グリッドに並んでいるF1チームが歴史から消え去る可能性は十二分にある。特にウィリアムズやハースなど、小規模資本のプライベーターの将来が危うい。

ライバルチームの将来を案ずるレッドブル代表

クリスチャン・ホーナーはBBCのインタビューに応じ「F1のビジネス構造は非常に強固であり、莫大な歴史と遺産を持っている。F1はこの状況を乗り切るだろう」と述べ、F1が存続する事は間違いないとの考えを示す一方で、ライバルチームの先行きを案じた。

「確かにリバティのビジネス構造は非常に込み入っていて、彼らが所有するライブ・ネイション社のイベントビジネスもまた打撃を受けている。だが彼らには深い懐があるし、彼らは常に長期的な視点でこの件に取り組んできた。彼らはこのスポーツの継続のために必要な事は何でもすると思う」

「ただし全てのチームが生き残れるかどうかは別問題だ。だからこそ、スポーツの利益と参加者全員の利益を念頭に置いて行動し、10チームすべてが生き残れるように最善を尽くすことが、全チームのプリンシパルに求められている」

「全チームが団結し責任を以て物事に対処している。一部のチームが他のチームよりも危ういのは明らかだ。特に小規模チームがそうだ。F1コミュニティを守るために最善を尽くすことが重要だ」

英国モータースポーツ連盟のデビッド・リチャーズ会長は、クリスチャン・ホーナーと同様に小規模資本のプライベーターに経営破綻の可能性があることは明らかだとして、かつてF1を牛耳っていたバーニー・エクレストンを引き合いに出し、必要に応じて資金面でチームの経営を下支えするようリバティ・メディアに要請している。

チームの経営破綻を危惧…財政支援を要請

リーマンショックとの違い

サブプライム住宅ローン問題に端を発するリーマン・ブラザーズの経営破綻によって、世界中で金融危機が連鎖発生した2008年のいわゆる「リーマン・ショック」の際には、ホンダが同年を以てF1から撤退し、その翌年にはトヨタが世界最高峰の4輪モータースポーツでの活動に終止符を打った。

クリスチャン・ホーナーは今回の「コロナ・ショック」とリーマン・ショックとの違いは別次元だとして、次のように説明する。

「2008年とは違う。あの時はレースを開催できていたし、カレンダーもイベントもあった。それに問題や課題というものをより明確に捉える事が出来たが、今回は先行きが見通せない」

「いつレースを再開出来るのか? これも当時とは異なるシナリオだ。2008年はプレッシャーもあったし、当時はロン・デニスやフラビオ・ブリアトーレがいた。彼らはこのスポーツの利益を考えていた。危機の際には、全員が一丸となる事が必要だ。それが状況を決定的に左右する」

「今の世界は当時とは違う。もちろん、収益は非常に大きな打撃を受けているがね。F1がどれだけの打撃を受けるかはまだ分からない」