手を振ってシルバーストン・サーキットに訪れたファンの声援に応えるメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年7月18日F1イギリスGPにて
Courtesy Of Daimler AG

レッドブル・ホンダ「嫌悪感と悲しみを覚える」ハミルトンに対する人種差別的批判を非難

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1周目のマックス・フェルスタッペンとの衝突を経てF1第10戦イギリスGPで逆転勝利したルイス・ハミルトンに対し、レース後にソーシャルメディア(SNS)上で人種差別的な批判が飛び交っている。

人種や出身国、民族や宗教、性別や容姿など自ら主体的に変えることが困難な事象に基づく侮辱や批判は日本のみならず世界的に不法行為として認められている。

特にイギリスにおいては、ネット上の有害コンテンツの削除等を怠った企業に対し厳罰を科すオンライン・セーフティ法案の成立が目前に控えており、先日のユーロ2020決勝のイタリア戦でPKを外した3名の代表選手に対するSNS上での人種差別的コメントの件もあって、ハミルトンに対する憎悪に満ちた嫌がらせが問題視されている。

Instagramを傘下に持つFacebookは「イギリスGPの開催中および終了後にハミルトン選手に向けられた人種差別的な嫌がらせは容認できるものではなく、Instagramから多くのコメントを削除した」と説明し「この問題を一夜にして解決することはできないが、我々はコミュニティを不正使用から守るための活動に全力で取り組んでいる」との声明を発表した。

F1コミュニティも黙ってはいない。所属先のメルセデス、F1、統括団体の国際自動車連盟(FIA)、そしてライバルのチームのレッドブル・ホンダ、マクラーレン、アルピーヌ、アルファタウリ・ホンダが厳しい表現でハミルトンに対するヘイトを非難した。

F1とFIA、そしてメルセデスは共同声明の中で「このような人々の居場所は我々のスポーツにはない。発言者はその行動に対して責任を負うべきで、我々はそれを強く求める」と語った。

「F1、FIA、ドライバー、チームは、より多様で包括的なスポーツを作り上げるために取り組んでいる。こうしたオンライン上での容認できない事例は排除しなければならない」

フェルスタッペンの所属先であるレッドブル・ホンダは、タイトル争いのライバルに向けられた人種差別的な罵倒に「嫌悪感と悲しみを覚えている」との声明を発表した。

「我々はコース上において熾烈なライバル関係にあるかもしれないが、人種差別に対しては一致団結している。我々は、チーム、ライバル、そしてファンに対するいかなる種類の人種差別的行為も非難する」

「こうした行為を行った者は責任を負うべきだ」

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表も個人のSNSアカウントを通して次のコメントを寄せた。

「チャンピオンシップ争いに関して競争が激化しているとは言え、高ぶった感情が人種差別的嫌がらせにまで及ぶ事はあってはならない」

「我々はチーム内での人種差別的な行動に対してゼロ・トレランスのアプローチをとっており、個人的には、この種の嫌がらせを行った者は責任を取るべきだと強く感じている」

「我々はこうした行為をこのスポーツから根絶するために、FIAとF1をサポートしていく」

ハミルトンの母国、イギリス・ウォーキングに本拠を構えるマクラーレンや英国エンストンにファクトリーを持つアルピーヌ、レッドブルの姉妹チームであるアルファタウリ・ホンダもFIA及びF1の姿勢を支持する立場を表明している。

また、F1ドライバーの総意としてGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエイション)も次の声明を発表した。

「昨日のイギリスGPでルイス・ハミルトンが受けた人種差別的な暴言について、すべてのF1ドライバーは一丸となって非難する。GPDAはあらゆる形態の差別や人種差別に反対だ。我々のスポーツや社会では如何なる種類の嫌がらせも許されない」

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