トロロッソ・ホンダ 遂に本格始動!公式テストを好発進「最高の船出、文句なし」
ホンダ復帰4シーズン目の戦いがついに始まった。26日(月)、シーズン前のF1公式テストがスペイン、カタロニア・サーキットで始まり初日のセッションが終了。ホンダ最新版パワーユニット「RA618H」を搭載したトロロッソ・ホンダは精力的に周回を重ね、レッドブルに次ぐ全体で2番目に多い93周を走破した。
午前と午後で各4時間のセッションが組まれ、トロロッソ・ホンダはマシン及びシステムの機能確認を中心に午前に72周、昼休み後には21周を走行した。新しいチーム体制でのスタートしたという事あり、チーム内でのオペレーションや連携などのチェックなどにも時間を費やした。
トラブルフリーで好発進「最高の船出」
新車「STR13」のステアリングを握ったのは、昨年のWEC世界耐久選手権王者ブレンドン・ハートレー。ソフトタイヤを履き、最速ダニエル・リカルドから2.192秒遅れの1分22秒371で全体の8番手につけた。ソフトタイヤ勢としては3番手、チーム別では6番手のタイムだった。一日を振り返ったハートレーは、最高の船出になったと語る。
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「マシンの感触はかなり良かったし、初日に93周走れた事は、トロロッソとホンダの新たな旅の始まりに相応しい最高のスタートだと思う。難しい状況ではあったけど、走行内容から多くの事を学んだし、明日以降に向けてセットアップを進めることができた」
「エンジンのドライバビリティーは、僕が今までに乗ったF1マシンの中でも最高レベルだった。今日はあらゆる面でポジティブ、文句なしの一日だった」
今季新たにホンダF1のテクニカル・ディレクターに就任した田辺豊治は「初日に93周を周回できたことは、マシンパッケージの信頼性確認という意味で前向きなスタート」と付け加え、ハートレーに同意した。
走行マイレージを最重要視
昨年のマクラーレン・ホンダの惨状を引き合いに出すまでもなく、テストで周回数を稼ぐ事は極めて重要だ。マシントラブルが多発しバルセロナテストでの走行不足が響いたマクラーレン・ホンダは、開幕序盤はレースではなくテスト走行のためにグランプリを転戦した。
トラブルによって走行データが得られないことには、マシンの開発を進めることは出来ず、開幕までにライバルチームとのギャップが拡大するばかり。トロロッソの技術部門を率いるジェームス・キーは、今週4日間のテストで”最も重要な事”は「走行マイレージを稼ぐこと」と強調する。
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「今週のテストで最も重要視しているのは、マシンの信頼性を確認し十分な走行距離を稼ぐことだ。それによって、ドライバーがマシンを学ぶ十分な時間を得られるし、シーズン開幕に向けた準備の土台を築くことにもつながるからね」
「我々のドライバーは、昨年あまり多くの走行機会を得られていないため、このテストが重要な準備期間となる。新しいタイヤやマシンのセットアップ、空力パフォーマンスなどといった基本事項の確認も必要だから周回を稼ぐ事は大切なんだ。今日はいい形で初日を終えられたと言える」
トロロッソ・ホンダ「STR13」は速いのか?
時期尚早は先刻承知。初日の順位結果を見る限り、メルセデス、フェラーリ、レッドブルはさて置き、中段勢としてはルノーが一步リード、これにトロ・ロッソ、マクラーレン、ウィリアムズ、ハースの4チームが団子状で続くような形となった。STR13はどの程度の戦闘力を備えているのだろうか?予想するのは難しい。
肌寒いながらもまずまずのコンディションに恵まれた午前中とは一変し、午後のバルセロナの上空は厚い雲に覆われ気温・路面温度共に7℃にまで低下。コース上には雨粒も落ち、午後は多くの時間をガレージで過ごした。厳しい天候のために、予定されていたテストプログラムの多くが短縮を強いられる難しい一日。各チームは、タイムではなく安定的に継続したペースを保ち周回を稼ぐことに専念した。
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未知の要素も多い。新しく舗装された路面に加えて、一新されたピレリタイヤの扱いに多くのドライバーが苦労した。一度作動温度領域を外れると大幅にグリップが低下し、まともに走る事も難しいようだ。ハートレーは「氷の上を走っているよう」と形容した。
「コーナリングのために減速してタイヤの作動温度を外れてしまうと、氷の上を走っているみたいにグリップを失ってしまうんだ。今日の天候でタイヤの温度を保つのは、かなり難しかったよ」
各チームともラップタイムを出す事を目的にしておらず、初日とあってリザルトは正確な勢力図を描いてはいない。「判断するには早すぎる」キミ・ライコネンの発言を引き合いに出すまでもない。そうは言えども、STR13がどの程度速いのかは気になるところ。ハートレーは次のように答えヒントをくれた。
「マシンバランスが良く早々から快調だった。でも、まだまだポテンシャルはあると感じてる。結果に満足してるよ」
決して大きな規模のチームではないトロ・ロッソ。昨年のルノーとは大きく異るホンダのエンジンレイアウトに対応するのが精一杯といったSTR13だけに、初年度に大きな成果を期待するのは酷というもの。シーズンを通してどれだけパフォーマンスを向上させるのかが見所だろう。
日伊合同チームのコミュニケーション
イタリアと日本という文化・文脈がまるで異なる2つのチーム。パートナーシップの締結に際して、トロ・ロッソはホンダ側と円滑なコミュニケーションを可能とするため、日本の文化を学ぶ特別なレッスンを実施した。フランツ・トスト代表は「日本人の考え方を理解しておくことは有益だ。実際、それらのセミナーは本当に良い結果をもたらしている」と述べる。
© Getty Images / Red Bull Content Pool、左から森山克英、山本雅史、トスト
ホンダも意思疎通の問題は感じていないようだ。田辺ディレクターは、新しいチームとのコミュニケーションに問題はなく、互いに良いパートナーシップを築いていると明らかにした。
「今季に向けたトロ・ロッソとの準備期間は決して長くはありませんでしたが、限られた時間の中で密にコミュニケーションを取り、順調に作業を進めることができました。互いにいいパートナーシップを築けていますし、イタリア、日本、イギリスのそれぞれのファクトリーにいるチームメンバーの努力にとても感謝しています」
トロロッソ側もこれに同意、ジェームス・キーは「この6カ月間、ホンダの仲間たちとは、先を見据えながら良い仕事をしてきた。その結果が今日の励みとなるスタートにつながったことに満足している」と付け加えた。
第1回プレシーズンテストは3月1日(木)までの4日間行われる。2回目のテストは翌週3月6日(火)から9日(金)の4日間。その後は開幕オーストラリアGPが控える。