ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターの後ろ姿、2020年F1ポルトガルGPにて
copyright Red Bull Content Pool

ホンダF1、ガスリーの車両が火災トラブル「電源シャットダウンが起因」と田辺TD

  • Published:

ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは、F1第12戦ポルトガルGPの2回目のフリー走行で発生したピエール・ガスリーの車両火災について、詳細な調査はこれからだとした上で、電源のシャットダウンが起因であったと明かした。

10月23日(金)に行われたポルティマオのアルガルベ・サーキットでの開幕初日セッションでは、レッドブル、アルファタウリ共に幸先の良いペースを刻んだが、FP2でガスリーの駆るAT01が炎に巻かれるトラブルが発生。更にその直後には、マックス・フェルスタッペンが関係する接触事故が発生し、2度に渡る赤旗が振られる波乱となった。

FP2の冒頭30分間はピレリの来季用タイヤのテストが行われ、チームはピレリ指定のプログラムに従って走行した。その結果、残りの60分間がフリープラクティスとなり、各チームが予選と決勝に向けた通常のプログラムを開始したものの、ガスリーのマシン後方から炎が上がるアクシデントが発生した。

関連性があるかどうかは不明だが、ガスリーはFP1で車体に問題を抱えて走行を切り上げる場面があった。ホンダは炎上箇所の確認と合わせて原因の特定に取り掛かっており、これと合わせてパワーユニット(PU)へのダメージの程度を分析するとしている。

搭載されていたのは金曜専用エンジンであると見られるが、ガスリーは既に6つのPUコンポーネントの全てが年間上限基数に達しているため、何か1つでも新たに封を切ればグリッド降格ペナルティが科される状況となっている。

暗い影を落とす赤旗中断明けの直後には、フェルスタッペンがターン1でランス・ストロール(レーシングポイント)と接触し、再びレッドフラッグが掲示される事態となった。

怒り心頭のオランダ人ドライバーは、ストロールに放送禁止用語満載の暴言を浴びせかけた。一件は審議となったが、スチュワードは「誤解」が生み出したインシデントであるとして不問に付した

事故の影響でフェルスタッペンは軽い燃料でのソフトタイヤでのアタックラップを終える事ができなかったにも関わらず、バルテリ・ボッタス(メルセデス)に次ぐ2番手タイムをマークした。 また、ガスリーが7番手、アレックス・アルボンが10番手を刻んだ事で、ホンダエンジン勢はFP1に続いて3台がトップ10入りを果たした。予選シミュレーションを消化できなかったダニール・クビアトは17番手でクルマを降りた。

順位 ドライバー チーム タイム
2 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:18.535 +0.595 34
7 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:19.178 +1.238 26
10 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 1:19.643 +1.703 37
13 ダニエル・リカルド ルノー 1:19.987 +2.047 28

Honda:F1ポルトガルGP初日

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

F1初開催となったアルガルベ・インターナショナル・サーキットでの走行初日は、2回のプラクティスセッションを通して車体とパワーユニット(PU)双方のセッティングの最適化を進めていきました。

PUとしては事前のシミュレーションをベースに、FP1及びFP2で収集した走行データを元に改善を進めました。明日の予選と日曜日のレースに向けて、今晩、データを解析して更に準備を進めていきますが、ムジェロやニュルブルクリンクでの経験を活かしてスムーズに最適化を進められるようになった事で、細かいところの詰め作業に時間を割く事ができるようになってきています。

FP2の中盤に発生したガスリー選手のトラブルについては、電源がシャットダウンしたことが起因となっていたことは確認しています。マシンがガレージに戻ってくるのを待ち、何が起こっていたのかの確認と、原因の特定を進めて いきます。マシンが大きく燃えてしまいましたが、ガスリー選手に怪我がなかった事は幸いでした。


初日はバルテリ・ボッタス(メルセデス)が両セッションで最速タイムを刻んだ。FP2では車両火災とクラッシュの影響で2度に渡って赤旗が振られる中、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2番手に、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番手に続く結果となった。

F1ポルトガルグランプリ3回目のフリー走行は日本時間10月24日(土)19時から、公式予選は同22時から1時間に渡ってアルガルベ・サーキットで開催される。

F1ポルトガルGP特集