角田らは使い捨て? ペレス激白 ― レッドブル体制の”歪み”と別れ、そして「F1キャリア最高の2025年」

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2026年のF1復帰に向けた準備を進めるセルジオ・ペレス(キャデラック)が、レッドブル・レーシングを去った際の胸中を明かした。

メキシコの起業家オソ・トラバ氏のポッドキャストに出演し、マックス・フェルスタッペンを絶対的な中心に据えたチーム体制に疑問を投げかけるとともに、自身の不振がチーム内の混乱を覆い隠すための「スケープゴート」として扱われていたと示唆した。

「速すぎても問題、遅くても問題」

「僕が速すぎれば問題になり、チーム内にはとても緊迫した空気が流れた。マックスより速くても問題だし、遅くても問題だったんだ」

フェルスタッペンを頂点とするチームヒエラルキーの中で、セカンドドライバーに課された矛盾した要求を、ペレスは苦笑いを浮かべながらこう総括した。

「レッドブルでは、何もかもが(僕自身の)問題にされてしまった」

13番手での予選Q2敗退を経てピットレーンを歩くセルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)、2024年9月21日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

13番手での予選Q2敗退を経てピットレーンを歩くセルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)、2024年9月21日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)

2024年シーズン後半、ペレスは深刻な不振に陥り、チームへの貢献度を厳しく問われ続けた。だが本人の認識では、その低迷は個人的な問題ではなく、体制そのものに起因するものだった。ペレスは孤立無援の状況に置かれていたと振り返る。

「当時はあまりにプレッシャーが強かった。クリスチャン(ホーナー)がいくつか問題を抱えていたから、僕の存在が一種の『目くらまし』になっていた側面もあった」

「誰も僕以外の話題を口にしなかった。僕のパフォーマンスのこと、それがどれだけ酷いか、そんなことばかりが話題だった」

ホーナーは2024年初頭、後に社内調査を経て潔白と判断されたものの、当時は女性従業員への不適切な行為を巡る疑惑に直面していた。

「ユーキがいる」──ホーナーとの対話

決勝前にクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシングチーム代表)話をするセルジオ・ペレス、2024年6月23日(日) F1スペインGP(カタロニア・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝前にクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシングチーム代表)話をするセルジオ・ペレス、2024年6月23日(日) F1スペインGP(カタロニア・サーキット)

日本のファンにとって特に関心を引くのが、ペレスの後任ドライバーを巡るホーナーとペレス自身とのやり取りだ。ペレスの視点では、この会話はドライバーを消耗品のように扱うチームの姿勢を象徴するものだった。

ペレスによれば、「リアム(ローソン)がうまくいかなかったらどうするつもりだい?」と問いかけた際、ホーナーは「まあ、ユーキがいるからな」と答え、当時すでに角田を後任候補の一人として検討していたことを示唆したという。

だがペレスが「それでもうまくいかなかったらどうするのか」と問いただすと、ホーナーは「ドライバーは他にもたくさんいる」と返した。さらに「結局、全員を使うんだろ」と問い詰めると、「分かってる」と応じたとされる。

「規則で2台必要だから(セカンドドライバーを)走らせているだけだ」とまで言われたと主張するペレスにとって、この一連のやり取りは、自身が置かれていた立場を改めて痛感させる出来事だったのかもしれない。

「走らなかった2025年」が最高の1年

ペレスは、チーム離脱後に後任ドライバーたちが直面した苦戦を、複雑な心境で見てきた。ローソンや角田が期待通りの結果を残せなかった事実は、結果としてペレスの評価を押し上げる形となった。

「F1での最高の1年は、僕がレースをしていなかった2025年だと思っている。誰もが僕の成功にようやく気づいた年だからね」

2025年、レッドブルはセカンドドライバーの安定性を欠き、フェルスタッペンの圧倒的な速さとは対照的に混乱が続いた。その構図が、ペレスが在籍時に果たしていた役割の重要性を際立たせた。

「今では、僕がレッドブルで達成したことの価値が、当時よりもずっと大きくなっている」

かつて過小評価されていたと感じていたペレスにとって、現在の再評価は正当な報いとも受け取れる。一方で、その言葉には古巣への明らかな皮肉もにじむ。

キャデラックと共に歩む新章

キャデラックF1との契約が発表されたバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレス、2025年8月26日copyright Cadillac

キャデラックF1との契約が発表されたバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレス、2025年8月26日

現在は、ゼネラルモーターズ(GM)の支援を受けるキャデラックのプロジェクトに情熱を注ぐ。ペレスはこの新チームをF1で頂点に導き、それを自身の「レガシー」にしたいと考えている。

「レッドブルではプレッシャーがあまりに大きく、楽しむことを忘れてしまっていた」

そう振り返るペレスは、父親としての一面ものぞかせながら、新たなステージでの挑戦を見据える。

「成長した子供たちに、献身や勝利の意味を間近で見せたいんだ」

かつての”スケープゴート”は、キャデラックという新たな組織の中核として、2026年のグリッドで自身の実力を再び、そしてこれまで以上に示そうとするだろう。レッドブルでの苦い経験は、終わりではなく、新たな始まりへと踏み出すための強い原動力となっているのかもしれない。

真実はどこに

ペレスの告白を、一方的な主張として受け止めるべきか、それとも組織の問題を告発する証言として評価すべきか。その評価は容易ではない。

レッドブルは、ペレスの一連の主張に対して公式なコメントを出していない。だが、2025年に改めて顕在化したセカンドシート問題が、彼の指摘に一定の説得力を与えているのは事実だ。

2026年、ペレスはライバルチームの一員として古巣と向き合うことになる。彼の言葉は真実だったのか、それとも敗者の自己弁護に過ぎなかったのか――その答えの一端は、コース上で示されるだろう。