逆風が追い風に?アルボン4番手の番狂わせ、ウィリアムズがF1オランダで競争力を発揮した理由
Published: Updated:
8月26日のF1オランダGP予選でキャリアベストの4番手を刻んだアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、ザントフォールト・サーキットに吹き荒れた向かい風が、別の意味で逆に「追い風」になったと考えている。
アルボンは予選Q1でトップ通過を果たすと、3番手タイムでQ3進出を確保。最終ラウンドではポールシッターのマックス・フェルスタッペンから0.852秒遅れを記録してジョージ・ラッセル(メルセデス)と並ぶ2列目を手にした。アルボンが4番グリッドに着くのは通算5回目だ。
競争力を発揮したのはアルボンだけではなかった。同じFW45を駆るローガン・サージェントは自身初のQ3進出を達成。1993年イタリアGPのマイケル・アンドレッティ以来初めて、アメリカ人ドライバーとしてトップ10入りを果たした。30年ぶりの快挙だった。
ダウンフォースレベルの高いザントフォールトでFW45がこれほど上位に食い込むのは少々驚きだ。アルボンの今季これまでの予選平均順位が13位である事を見ても、意外な結果と言える。要因は何処にあるのか?
アルボンは「僕らがハイ・ダウンフォースで上手くやれている事には本当にビックリだよ!」と認めた上で、ターン9を含む多くの低速コーナーに向かい風が吹いた事で、低速でのブレーキングというFW45の弱点が「覆い隠された」との考えを示した。
「向かい風が吹いていると、一気に感触が良くなるんだ。フロントに荷重がかかるからね。明日のレースで風向きが変わらない事を祈るよ」
「追い風が吹くコーナーは通常、高速コーナーだった。僕らのクルマが高速コーナーで悪かった事は一度もない。だからそういう部分もあるんだと思う」
アルボンはまた、この現象は事前のシミュレーター作業においても確認されていたと説明した。
”恵みの風”がウィリアムズを後押ししたのはこれが初めてではない。
800戦記念カラーをまとったウィリアムズFW45は、強風で知られるシルバーストンでレッドブルに迫らんとする速さを発揮。アルボンは初日両セッションでトップ3を刻んだ。
予選での好パフォーマンスの裏には、初日と比べて変化したコンディションに対し、適切にセットアップを変更したエンジニア達の努力もあった。
車両パフォーマンス部門を率いるデイブ・ロブソンは「FP3はかなり良かったが、それでもコンディションに対してクルマが全く適切でない事が判明したため、予選を前に幾つかの変更を加えた。これによってドライコンディションでのパフォーマンスを更に高める事ができた」と説明した。
決勝の目標についてロブソンは「天気がどうなるかはまだ不透明だが、どうなったとしても、堅実に戦い両方のクルマでポイントを懸けてレースができると思う」と付け加えた。
2023年F1オランダGP予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にランド・ノリス(マクラーレン)、3番手にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。角田裕毅(アルファタウリ)は3グリッド降格を受け17番グリッドに着く。
決勝レースは日本時間8月27日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4,307mのザントフォールト・サーキットを72周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。