F1モナコGPの舞台となるモンテカルロ市街地コース
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

いよいよ開幕、伝統のF1モナコGP!ライバルまでがレッドブルを優勝候補に挙げるその理由とは?跳馬2連覇の可能性は?

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モータースポーツ界最大のイベントの1つであるF1モナコGP。誰もが一度は勝利したいと望む伝統のレースを制するのは誰なのか?優勝候補に数えられる2チームは共に、レッドブルの優勢を予想している。

メルセデスAMGのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、マシンとコースレイアウトとのマッチングを理由に、今年のモンテカルロでの本命はレッドブル、もしくはフェラーリだと考えている。

「モンテカルロは我々向きのコースではない。ここはレッドブルやフェラーリが得意とするサーキットだ。モナコではストレートでのトップスピードは大して重要ではなく、レッドブルは低速コーナーで速い。そしてフェラーリは昨年のグランプリで完全無欠の速さを誇っていた」

昨年の丁度この時期、モナコでの勝者を予想する上でひとつの話題となっていたのがホイールベースであった。2017年F1マシンの中で最もホイールベースが長かったのは3,760mmのメルセデス。対して、フェラーリは3,594mmと大きな違いがあった。

2017年F1マシンのホイールベース

一般論で言えば、ショート・ホイールベースのマシンは、モナコを代表とする道幅の狭いタイトなサーキットで有利に働く可能性があるが、ロングホイールベースのマシンは高速サーキットでアドバンテージを得る可能性がある。結果的に、昨年のモナコではフェラーリ勢がフロントローを独占し、表彰台をも占拠した。

だが、チャンピオンシップでの王者返り咲きを目指す跳馬は今年、SF71Hのホイールベースを拡大。一方のシルバーアローはこれを縮め、両者の差は僅か2mmとほぼ同じ長さに収斂した。「モナコでの1勝は他の2勝に相当する」とはよく言ったものだが、選手権ポイントが倍になるわけではない。

メルセデスは前戦スペインGPでフロントローをノックアウトしてみせ、決勝でも終始圧巻のペースを披露。今季初の1-2フィニッシュを果たし表彰台を独占した。マシンの総合力が問われるカタロニア・サーキットでの圧勝であったものの、ウォルフはそれはモナコでのメルセデス優位を意味するものではないと主張する。

メルセデス代表のトト・ウォルフ
© Mercedez AMG、トト・ウォルフ代表

「確かに我々はバルセロナでシーズン初の1-2フィニッシュを決める事ができた。マシンは速く、タイヤを上手く管理することができ、二人のドライバー達はバランスとハンドリングにポジティブだった。だたし、この勝利がターニングポイントになるとは考えていない。トラックレイアウトや路面状況といった全ての要素が我々のマシンにマッチしていただけだ」

「モナコは非常に独特なサーキットであり、他のものとは完全に異なる挑戦となる。昨年我々はモナコで正しいセットアップを見出す事ができず、選手権争いにおいてダメージを最小限に抑えるための戦いを強いられた。苦い思い出だが、今年はその屈辱から学んだ事を活かし見せつけたいと思っている。フリー走行でのプログラムを滞りなく消化し、ここ数戦で学んだ知見を活かしマシンのポテンシャルを最大限に活かさなければならない」

モナコでのフリー走行プログラムは他とは少し様子が異なる。通常のグランプリでは初日金曜に新しいエアロパーツ等のテストを行う等、ある程度はレース以外のプログラムに時間を割く事も可能だが、モナコにおいてはFP1開始直後から「ドライバビリティ」を追求し、マシンの理想的なセットアップを見出す事に費やされる。

モンテカルロのような「ドライバーズサーキット」においては、マシンよりもドライバーの力量が相対的に問われるため、ドライバーが心の底から信頼できるマシンを作り上げることが何よりも重視される。モナコでは、意図せずブレーキングが2m遅れただけで週末の全てが台無しになりかねない。いつも以上にドライバーがイメージした通りに反応するマシンが求められる。

メルセデスを率いるウォルフがレッドブルの優勢を予想する傍ら、マックス・フェルスタッペンもまたレッドブルRB14がモナコで優位に立つと考えている。フェルスタッペンはスペインGPで今季初のポディウムに上がり3位を獲得した。

モンテカルロ市街地コースのコースレイアウト図

「バルセロナのレースで表彰台に戻れてよかったよ。僕らのマシンは、低速コーナーが続く最終セクターで凄く力強かった 。それはモナコで必要とされるマシン性能だ。バルセロナテストでもポジティブな手応えを得る事ができたし、正しいセットアップを見つけられればモナコでも良い週末を過ごせるはずだ」

「モナコには特に長いストレートはないし、僕らにとって相性の良いサーキットに違いないよ」

メルセデスのバルテリ・ボッタスもフェルスタッペンの意見に同意する。「レッドブルはバルセロナの最終セクターで速かった。それを考えるとモナコでもかなり速いと思う。モナコはバルセロナの第3セクターのように、殆ど全てのコーナーが曲がりくねっているからね」

レッドブル優勢の声が多いとは言え、不確定要素が事前予想を大きく狂わせる可能性もある。それは、F1史上初めて投入されるハイパーソフトタイヤの存在とタイムテーブルの変更だ。今年のF1モナコGP決勝レースは昨年よりも1時間程遅い時間帯に行われ、ピレリが新たに開発した最も柔らかい桃色で彩られたハイパーソフトが持ち込まれる。

65回目のモンテカルロの栄冠は誰が手にする事になるのだろうか?世界三大レースの1つに数えられる今年のF1モナコGPは、日本時間5月24日(木)18時からのフリー走行で幕を開ける。

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