メルセデスF1、2022年新車「W13」を世界初公開!伝統のシルバーアロー復活
メルセデスAMGペトロナスF1チームは2月18日(金)、コンストラクターズ選手権9連覇を目指す2022年シーズンのFIA-F1世界選手権マシン「Mercedes-AMG F1 W13 E Performance」を世界初公開した。
英国ブラックリーのチームは過去2年間に渡って、人種差別に反対する姿勢を示しチームの多様性向上を誓うべくマシンを漆黒に染め上げてきたが、3年ぶりに伝統の”シルバーアロー”が復活した。W13は2010年のF1復帰以来、メルセデスAMGワークスチームにとって13台目のマシンとなる。
前人未到の9連覇達成に向け、今季のメルセデスには2つの注目ポイントがある。
一つは、ウィリアムズでの輝かしいシーズンを経てバルテリ・ボッタスの後任としてワークス昇格を手にした野心的なジョージ・ラッセルがチームに加わっても、メルセデスがチーム内ハーモニーを保てるのかどうかという点だ。
7度のF1王者ルイス・ハミルトンと、シルバーアローの未来を担う存在として期待されているラッセルとのラインナップは大きなポテンシャルに満ちているものの、反面懸念材料もある。
コロナ欠場のハミルトンに代わってメルセデスを駆った2020年のバーレーンGPでは準備不足ながらも驚異的な走りを披露した。メルセデス1年目にして素早くペースを上げてくる事が十分に予想されるだけに、2人の間に緊張感が生まれる余地は十分にある。
メルセデスでの長きに渡るキャリアが保証されていると言って良い現状があるだけに、自らの立場を危うくするような事はしないだろうが、それでも野心的なラッセルは7度の王者相手に自分の実力を証明したいと思っているはずだ。
昨年のアブダビでのドラマティックな敗北劇を経てハミルトンが例年以上にモチベーションを高めている事は明らかで、自分がF1でベストなドライバーだと証明する上で、チームメイトが匹敵するパフォーマンスを発揮してくれば、ニコ・ロズベルグの時ほどではないにしても軋轢が生まれる可能性はある。
2つ目は、大規模なレギュレーション改訂が行われてなお、メルセデスが優位性を維持できるのかという点だ。
昨年のメルセデスはタイトル争いを繰り広げたレッドブルとは異なり、シーズンの早い段階で開発のリソースを2022年に切り替えた。最後の大型アップグレードの投入は7月のイギリスGP。2014年以降の8連覇の偉業を見れば明らかなように、メルセデスは変化への対処に長けている。
もちろん全てが白紙に戻る以上、ライバルチームと同様に間違った方向に進み後退を余儀なくされるリスクはある。だが昨シーズンを見ても分かる通り、メルセデスには問題を素早く正して克服してきた実績がある。少なくとも1年を通してメルセデスが優勝争いから遠ざかる事をイメージするのは難しい。