F1スペインGPの金曜プレスカンファレンスに出席したマクラーレンのザク・ブラウンCEOとレーシング・ポイントF1チームのオトマー・サフナウアー代表
Courtesy Of Renault

マクラーレンのブラウンCEOが「無知」発言を巡り サフナウアー代表に”痛烈な皮肉”で反撃

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マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、レーシング・ポイントF1チームの今季型F1マシン「RP20」を巡る口論の中で発せられたオトマー・サフナウアー代表の「無知」発言に対して、痛烈な皮肉を以て反撃した。

RP20のリアブレーキダクトの合法性を巡る問題は、ルノーが国際自動車連盟(FIA)に対して正式に抗議した事によって俎上に載り、今やFIA国際控訴裁判所に持ち込まれる事態へと進展。2020年シーズン最大の論争となっている。

一連の調査を経てスチュワードは、RP20のリアブレーキダクトはチームによる独自設計を義務付けた競技規約違反である判断し、40万ユーロの罰金とコンストラクターズ選手権での15ポイントの剥奪を科す裁定を下したが、同時に今後の継続使用に関しては罰則を科さないとも明言した。

これに対して、不服を唱えたルノーとフェラーリが正式に控訴の手続きに着手。マクラーレンはウィリアムズと共に控訴を取り止めたものの、ブラウンCEOは先週末、レーシングポイントがメルセデスの2019年型F1マシン「W10」の写真だけを元にRP20を設計したという主張を一笑。「デタラメ」と反論した。

これに対してサフナウアー代表は、ブラウンCEOがヒストリックカーレースを愛好している事に触れて「彼は自分が何を言っているのか全く分かっていない。ゼロだ。私は彼がF1のルールを殆ど知らない事に驚いている。思うに彼は、F1よりもヒストリックレースの方が詳しいようだ」と噛み付いた。

こうした状況の中、FIAはスペインGPの金曜カンファレンスに、本件の当事者であるサフナウアー代表とブラウンCEO、そしてルノーのシリル・アビテブール代表を招集。会見場が緊迫した空気に包まれる中、サフナウアー代表の「無知」発言に対する感想を求められたブラウンCEOは、落ち着き払った様子で強烈に皮肉った。

「オトマーが言ったことの多くは正しいと思っている。私はエンジニアではないし、ルールブックの最初のページから最後のページまでを把握しているわけじゃない。最高経営責任者という立場はレースチームを監督するものだ。ルールブックと規制を知ることはエンジニアの仕事だ」

「マクラーレンを率いる立場となって以降、私は40万ドルどころか1ドルの罰金も受けたことがないし、ポイントを剥奪されたこともない。Skyテレビが15ポイントだと指摘するまで、オトマーは(科された剥奪ポイントが)7.5ポイントだと思っていたようだがね」

ブラウンCEOの右隣に座っていたルーマニア出身の56歳は、落ち着かない様子で手にしたメガネを弄っていた。ブラウンCEOは、RP20が一年落ちのメルセデス、つまりヒストリックカーであるとして、更に皮肉を続ける。

「私のことを知っている人間は、私がヒストリックレースを楽しんでいる事をご存知と思う。どうやら彼が現在レースで使っているクルマはヒストリックカーのようだし、私としてはオトマーを招待したいところだね」

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