レッドブルレーシングのマックス・フェルスタッペンと最高エンジニアリング責任者を務めるロブ・マーシャル、2016年7月23日F1ハンガリーGPにて
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マクラーレンF1、レッドブルの重鎮ロブ・マーシャル引き抜きを発表!新技術体制の最後のピース埋まる

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FIA-F1世界選手権に参戦するマクラーレン・レーシングは第8戦スペインGPを週末に控えた2023年5月30日(火)、レッドブルでチーフ・エンジニアリング・オフィサーを務めるロブ・マーシャルをエンジニアリング&デザイン部門のテクニカルディレクターとして引き抜いたと発表した。ガーデニング休暇を経て2024年1月1日付で業務を開始する。

今年のオーストラリアGPでマックス・フェルスタッペンと共に表彰台に上がるなど、熱心なファンにとっては馴染みの顔だろう。マーシャルはレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表をして「チームの重要人物」とされる要の存在であり、チーム創設の翌2006年から17年間に渡ってデザインチームの中心的役割を担い、数々のタイトル獲得に貢献してきた人物だ。

ガレージ内からF1日本GPのプラクティスを見守るレッドブル・レーシングのチーフ・エンジニアリング・オフィサーを務めるロブ・マーシャル、2022年10月7日鈴鹿サーキットにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージ内からF1日本GPのプラクティスを見守るレッドブル・レーシングのチーフ・エンジニアリング・オフィサーを務めるロブ・マーシャル、2022年10月7日鈴鹿サーキットにて

マクラーレンは今年3月、技術部門全体を監督するエグゼクティブ・テクニカル・ディレクター体制を廃止し、ジェームス・キーの離脱と3名の専門テクニカル・ディレクター制を含む大規模再編を発表した。マーシャルの起用により、その最後のピースが埋まった。

マーシャルは来季より、ピーター・プロドロモウ(エアロダイナミクス担当テクニカル・ディレクター)、デビッド・サンチェス(車体コンセプト兼パフォーマンス担当テクニカル・ディレクター)と共に、エンジニアリング&デザイン部門の副テクニカルディレクターを務めるニール・ホールディのサポートを受け、この役割を担う事になる。

55歳のイギリス人エンジニアの起用についてチーム代表を務めるアンドレア・ステラは「チームが勝利を取り戻すための基本的なステップ」であると述べた。

グリッド最後尾争いを繰り広げていた2018年を経てマクラーレンは、2019年から21年にかけて飛躍的にパフォーマンスを向上させ、2020年にコンストラクター選手権3位にまで復活したものの、その後は4位、5位と成績は右肩下がりの状況で、今季は開幕6戦を終えて6位と低迷している。

ステラは「我々はチャンピオンシップ争いを目指すという野心を抱いているが、ここ数シーズンは競争力という点で着実に向上しているとは言えない状況だった」と語る。

「そこで過去数ヶ月間に渡り、この流れをひっくり返すべく取り組んできた」

「我々は包括的なアプローチを採ることにした。これは、まもなくの実現が予定されている技術やインフラに関する継続的なアップグレード・プロジェクトとともに、人材および専門知識という観点からチームを強化する事を基本とするものだ」

技術チームの再編に加えてマクラーレンはインフラへの投資にも力を入れており、今季中に最新鋭の風洞の稼働が計画されている他、新しいシミュレーターの導入を予定している。

マーシャルの離脱についてホーナーは、その仕事ぶりに敬意を表し「過去17年間に渡るロブの貢献に感謝したい」と語った。

「2010年から2013年にかけて4つという驚異的なダブルタイトルをもたらしたマシンに携わる彼の仕事は本当に素晴らしいものだった」

「2016年にはチーフ・エンジニアリング・オフィサーというより広範な役割を担い、ビジネス全体の他のプロジェクトにも関与するなど、彼はチームの重要人物であり続けてきた」

「その影響力が惜しまれるところだが、我々はこれまでの彼のあらゆる尽力に改めて感謝している。新天地での更なる活躍を願う」

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