レーシングポイント「RP20」F1シュタイアーマルクGPフリー走行にて
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マクラーレンとフェラーリがルノーに合流、レーシングポイントに対する裁定に控訴の構え

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マクラーレンとスクーデリア・フェラーリが、ブレーキダクトの合法性を巡るレーシングポイントF1チームへの裁定を不服として、控訴する意志がある事を明らかにした。コンストラクター選手権での直近のライバル2チームはルノーと共に、より厳しいペナルティを求めている。

スチュワードはルノーから抗議を受けて、レーシングポイントが今季型マシン「RP20」のリアブレーキダクトの設計に際して、メルセデスの2019年チャンピマシン「W10」のデータを不正に使用したと判断。70周年記念GPの開幕を前に、計40万ユーロの罰金とコンストラクターズ選手権における15ポイントの剥奪を科す裁定を下した。

ただし判決は、違反が認められたブレーキダクトを継続使用しても、今後は戒告のみで罰則を科すことはないとしている。

F1では競技規約によって、コンストラクターによる独自設計の義務を定めたパーツリスト、通称”リスティド・パーツ”を設けている。ブレーキダクトは昨年までリストの対象外とされていたが、今季より新たにリストに加えられた。

一貫して合法を主張するレーシングポイントは、罰則を覆すべく控訴を検討しているが、ライバルチームは70周年記念GPの初日を終えて、より厳しい制裁を求めて控訴の構えを示した。判決文の末尾には、FIA国際スポーティング・コード第15条の定めに従い、当事者ではない強豪チームにも控訴権を認めると記されている。

勝訴したルノーもまた、制裁内容に疑問を呈しており、フェラーリやマクラーレンと同じように控訴の意志を表明。国際自動車連盟(FIA)は3チームから控訴の意志通知を受け取った事を明らかにした。

なお、いずれも現時点では正式な控訴は行われておらず、あくまでも控訴の意志を表明したに過ぎない。判決では、控訴の意志がある場合は判決から24時間後のグリニッジ標準時8月8日(土)午前9時30分までに表明する事と記されていた。上訴の意志を表明した事で、フェラーリ、マクラーレン、ルノーには正式表明までに96時間の猶予が与えられる事になる。

ルノーはレーシングポイント「RP20」のブレーキダクトを違法と考え、第2戦シュタイヤーマルクGP、第3戦ハンガリーGP、そして第4戦イギリスGPで3回に渡って抗議を申し立てたが、スチュワードはその違法性を認めたにも関わらず、実質的にペナルティが科されたのはシュタイヤーマルクGPの1回のみを対象としたものだった。

合法性を主張するレーシングポイントは、設計は主として撮影された写真を使ってのリバースエンジニアリングだとしているが、ライバル達はこれを事実上のカスタマーカーだと捉えている。

フェラーリのマティア・ビノット代表は「本件はブレーキダクトに関連したものだが、その背後にはマシン全体をコピーしたと見受けられる要素がある」として、14ページに及ぶ判決文を慎重に検討した上で、罰則内容が十分かどうかを評価するとしていた。

またマクラーレンのザク・ブラウンCEOは「オーストリアで違法とされたものが、今は容認されるという状況はファンの混乱をきたす」「これは潜在的に氷山の一角である可能性があり、何が起きているのかを明確にする事を検討すべき時だ」と述べている。

なお、ルノーのシリル・アビテブール代表は「グリッドで最も優位性があるマシンをベースにしたレーシングポイントの行為は、システムに衝撃を与え、混乱をもたらしたことを認識する必要がある。我々はそれにどう対処するかを見守る必要がある」と語り、強気の姿勢を崩していない。

一方のレーシングポイントのオトマー・サフナウアー代表は「汚名を晴らすために控訴を検討すべき」としながらも、「罰金よりも弁護士を雇うコストの方が高くつく可能性もある」などとして、費用対効果の観点から控訴しない可能性もある事を認めている。

正式な控訴が行われると、本件はFIA国際控訴審判所(The FIA International Court of Appeal)の判断に委ねられる事となる。

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