セバスチャン・ベッテルとマウリツィオ・アリバベーネ
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“珍事”と悪夢と安堵…望みを捨てず楽観視するフェラーリ「タラレバは無意味」F1マレーシアGP 2017《決勝》

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スクーデリア・フェラーリにとって、幕引きのF1マレーシアGPは珍事と安堵と悪夢にうなされたグランプリとなった。予選ではセバスチャン・ベッテルのマシンにエンジントラブルが発生、タイム計測できずにQ1敗退を喫した。翌日の決勝では、キミ・ライコネンに同様の問題が出てしまい、レースをスタートする事すら出来なかった。

今週末のフェラーリは他を寄せつけない圧倒的な速さをみせ、2回目と3回目のフリー走行で1-2体制を築き、優勝候補筆頭に名を連ねていた。それだけに、立て続けに不具合を抱え、獲得できたはずのポイントを失ったのは悪夢以外の何ものでもない。ルイス・ハミルトンが2位表彰台を獲得したことで、ベッテルとの差は34ポイントまで拡大した。

マシンを降りたライコネンは「昨日はセブ、今日は僕、残念だよ。最高に良いマシンだったけど、タラレバを言っても何の意味もない。よくあることさ」とクールに悔しがった。

チェッカーを受けた後、悪夢は珍事へとバトンを渡した。ベッテルはレース後のスローダウンラップで5コーナーを通過する際、ランス・ストロールのアウト側を走行していた。すると、ベッテルを見ていなかったストロールはコーナリングラインを外側に取りベッテルに接触。ベッテルのマシン左リアは大破し、パスカル・ウェーレインのマシンに同乗してピットに戻ることになった。

ウェーレインのマシンに同乗するベッテル
©F1 ウェーレインのマシンに同乗するベッテル

不運のデフレスパイラルに飲まれたフェラーリだが、ベッテルが選手権争いのダメージを最小限に抑える4位入賞を果たしたことは、唯一の安堵となった。最後尾から表彰台まであと一步と迫ったのは、驚異的としか形容しようがない。タフな週末を強いられたにも関わらず、ベッテルは楽観的な姿勢をみせている。

フェラーリ:マレーシアGP決勝後コメント

セバスチャン・ベッテル決勝: 4位, スタート: 10位

フェラーリには速いマシンがあるって分かってるから、僕はまだ楽観視してるんだ。当たり前だけど、キミがレースをスタートできなかったのは残念だし、僕が最後尾スタートだったのも残念さ。限界まで攻めて表彰台を狙ってたんだけど、終盤にはタイヤが悲鳴をあげちゃったもんだから、それは出来なかったんだ。

今週末は僕もキミもトラブルに見舞われてしまったけど、車が良いって分かっているから、この先の見通しは明るいよ。トラブルの原因については、2台ともが同じ問題だったのかどうかはまだ分からないんだ。調べてみなきゃね。

昨日も今日も走れなかったのは理想的とは言えないから、原因をきちんと理解しなきゃ。厳しいグランプリになったけど間違いなく速さはあるし、今シーズンのフェラーリは高い信頼性を誇ってきたから、正直に言うと僕はそんなに心配してないよ。

キミ・ライコネン決勝: DNS, グリッド: 2位

まだ何が起きたのかは分からないんだ。今週末のマシンはずっと完璧に機能してたのに、突然何も前触れなくトラブルが出てしまったんだ。まぁ、残念だけどよくあることさ。速さもあるし車も良いのに、昨日はセブ、そして今日は僕、残念だよ。

走れてさえいたら、たぶん最高に良いマシンだったはずさ。でもそんな事は誰にも分からないし、タラレバを言っても何の意味もない。素晴らしいマシンパッケージがあるわけだから、それを最大に活かさなきゃね。今日は本当にガッカリしてるし、チームの皆も凹んでるれど、今はどうする事もできないよ。


チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、「マシンも人材も素晴らしいし、我々には最高のドライバー達がいます。最後まで諦めずに戦う魂も道具もすべて揃っています」と語り、ベッテル同様に前向きな姿勢をみせた。

19回の歴史に幕を下ろしたマレーシアGPのレース詳細については、2017年F1マレーシアGP決勝結果とダイジェストを参照されたい。次戦F1日本GPは、10月6日(金)10時からのフリー走行で幕を開ける。

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