波紋広がる差別発言、ハミルトン「旧態依然」としたピケを批判…ライバルF1チームも支持表明
3度のF1ワールドチャンピオン、ネルソン・ピケが自身に対して人種差別的発言を口にした事を受けルイス・ハミルトン(メルセデス)は、「旧態依然とした考え方」と批判し、行動を起こすべき時が来たと訴えた。
ピケは昨年末、2021年のF1イギリスGPで発生したハミルトンと、娘ケリーの恋人マックス・フェルスタッペンとの衝突事故に関して問われた際、2度に渡ってポルトガル語の人種差別用語を使ってハミルトンを揶揄した。
ピケはクラッシュが発生したコプスについて「あそこは高速コーナーで2台が並んで通れる場所ではない」として、ハミルトンは「どんな犠牲を払ってでも彼を倒したかった」「汚い手口だ」等と述べ、故意にフェルスタッペンと接触したと主張した。
事故から1年を経て、シルバーストン・サーキットでのグランプリ開催が間近に迫ると、ポッドキャストでの昨年末のインタビューがSNSで大きな話題となり、F1や統括団体の国際自動車連盟(FIA)、そして所属先のメルセデスが28日(火)、相次いでピケの人種差別的発言を非難する声明を出した。
これに続いてハミルトンもSNSを通して「これは言葉の綾に留まるものではない。こういう旧態依然とした古臭い考え方は改めるべきだ。僕らのスポーツには相応しくない」と反応した。
「僕は人生を通してずっと、こういう考え方に晒され、ターゲットにされてきた。学ぶ時間は十分にあった。行動すべき時が来た」
It’s more than language. These archaic mindsets need to change and have no place in our sport. I’ve been surrounded by these attitudes and targeted my whole life. There has been plenty of time to learn. Time has come for action.
— Lewis Hamilton (@LewisHamilton) June 28, 2022
またジョージ・ラッセルは、チームメイトのハミルトンについて「彼はコース上だけでなく、コース外でも、歴史上のどのドライバーよりもF1のために尽くしてきた。彼を含む多くの人々が、いまだにこういった振る舞いに対処しなきゃならないという事実は受け入れ難い。如何なる種類の差別に対しても一致団結して立ち向かう必要がある」と擁護した。
F1グリッドに着く唯一の黒人ドライバーであるハミルトンは、2020年のジョージ・フロイド殺害事件をきっかけに反人種差別運動の先頭に立ち、私財を投じて慈善団体「Mission 44」を設立するなど、F1界において主導的な役割を果たしてきた。
なおフェラーリやアストンマーチン、アルピーヌやマクラーレンも相次いでハミルトンへの支持を表明しており、波紋は時を経る毎に大きくなっている。