F1、”人種差別発言”が波紋を呼ぶ”部外者”のエクレストンを公然と非難
F1は6月26日(金)に声明を発表し、元統治者であるバーニー・エクレストンの「黒人は大抵、白人よりも人種差別的だ」との”無根拠”の見解を真っ向から非難すると共に、エクレストンは今やF1とは何らの関係もない部外者である事を強調した。
国際的スポーツという現在のF1の礎を築き挙げたF1の元ボスはこの程、CNN Sportとのインタビューの中で、ルイス・ハミルトンが最近力を入れている反人種差別活動および、”ハミルトン・コミッション“なる新たな取り組みについてのコメントを求められた。
6度のF1ワールドチャンピオンは、米国ミネアポリスで黒人ジョージ・フロイドが白人警官に殺害された先月以降、率先して声を上げてきた。沈黙を続けていたF1界を公然と非難し、ロンドン市街地で行われたデモに参加するだけでなく、科学、技術、工学、数学といった分野での黒人の活躍を促すための方法を模索・研究するための場として、英国王立工学アカデミーと提携して”The Hamilton Commission”を発足させた。
こうしたハミルトンの活動について、40年近くに渡ってF1を率いてきたエクレストンは、グリッド唯一の黒人ドライバーの取り組みを称賛する一方で、それがF1に具体的な影響を及ぼすかどうかについては疑問視していると説明し、「多くの場合、黒人は白人よりも人種差別的だ」と語った。
インタビューアーから詳しい説明を求められたエクレストンは、ただ単に何となく「そう感じていた」と返すのみで具体的な根拠を示す事はなく、これに対して各方面から批判の声が上がっていた。
こうした状況を受けてF1は即座に次の声明を発表し、エクレストンがF1とは無関係の”部外者”である事を強調した。
「人種差別と不平等に取り組むための団結が必要とされている今、バーニー・エクレストンの発言はF1であれ社会であれ認められるものではなく、我々としては全く同意できない」
「ミスターエクレストンは2017年に我々の組織を去って以来、F1で何の役割も果たしておらず、名誉会長の肩書は2020年1月に失効している」
多様性の欠如を理由にハミルトンからの非難に晒されているF1はこの程、改善策を検討する場としてタスクフォースを立ち上げ、更にはチェイス・ケアリーCEOからの100万ドルの寄付金を元に新たな基金を立ち上げるなど、ダイバーシティ確保のための新たな取り組みを発足させている。
ハミルトン自身はエクレストンのコメントについて「くそ、この件に関してはどこから手をつけていいのかさえ分からない」とSNSに投稿し、ショックを隠し切れない様子を見せている。