上昇気運に乗る角田裕毅、悲願の日本人初F1優勝…間近に迫る?
キャリア最高位となる4位フィニッシュで昨季を締め括った角田裕毅(アルファタウリ)は今年、度々ベテランのチームメイト、ピエール・ガスリーを凌駕するパフォーマンスを発揮。開幕戦では8位、前戦では7位フィニッシュを飾り、開幕4戦を終えてドライバーズランキングで僚友を上回る12位につけている。
特に予選でQ1敗退と後方に沈みながらも、スプリントと決勝を経て見事巻き返したイモラでの前戦は、自身をしてF1キャリアにおけるベストレースの一つと認めるほどで、F1での2年目を迎えた21歳の日本人ドライバーは着実に成長を遂げている。
この調子でいけば、日本人初F1優勝という悲願達成もさほど遠い日のことではないのでは…そう期待を寄せるのは何も日本人だけではないようだ。
F1第5戦マイアミGPを前に本場ヨーロッパのメディアから「表彰台獲得のすぐ近くにまで来ているのは明らか」「自身初、そして日本人初のF1優勝の可能性は間近だと感じているか?」との質問が飛んだ。
これに対して角田裕毅は「今のところは分かりません。ただ、僕としては目の前の状況に集中し、主にマシン開発に専念しています」と答え、成熟した様子をうかがわせた。
角田裕毅はデビュー戦入賞を経て多くを望みすぎた結果、昨年のイモラ以降、シーズン終盤近くにまで渡る不調を経験を経験し、そこから学んだ。
「またそれと同時に、できるだけ多くのポイントを獲得しようと思っています。もちろん表彰台を獲得できるチャンスがあれば、それを最大限に活かすつもりですが」と角田裕毅は続ける。
「表彰台に上がれれば当然、素晴らしいとは思いますが、今のところ、そういった事はあまり考えていません。去年の前半は表彰台を狙ったりしていましたが、気負いすぎて一気にミスが増えてしまい、常にコーナーを攻め過ぎてしまうような状況でした。ですので、そういう事は考えないようにしています」
「今はこの状況を本当に楽しんでいますし、チーム一丸となってできるだけ多くのポイントが取れるよう取り組んでいます。もちろん、優勝したり、表彰台に上ったりできれば、それはそれで最高だろうと思います」
またベストレースの一つ、イモラでの7位フィニッシュに関しても「自分達の目標達成のために、もっと多くのポイントを稼がなければならない事は明らか」だとして、これに甘んじるつもりはないと強調した。
例えば今年優勝を飾るためには少なくともレッドブル、フェラーリという別格の計4台を上回る必要があり、現実的に言えば闇夜に針の穴を通すような高いハードルだと言える。
だが、オーバーテイクが困難なコースで降雨などの理由によって予選が荒れ、上位グリッドを手にした上で、レースで赤旗等の他車の不運を味方につけ、その上で完璧な走りができれば絶対に不可能とも言い切れない。
これまでにF1を走った日本人レーサーは全部で19名おり、鈴木亜久里、佐藤琢磨、小林可夢偉の3名は表彰台に上がっているものの、いずれも3位で、日本人F1ウィナーはまだ誕生していない。