2020年インディカー・シリーズ第9戦ゲートウェイ・レース2 グリーンフラッグ直前の様子
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インディカー第9戦ゲートウェイ Race2︰ポールの佐藤琢磨とディクソン「レースを台無しにされた」と批判

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2020年NTTインディカー・シリーズ第9戦ボムマリート・オートモーティブ・グループ500のレース2が、米国イリノイ州現地8月30日(日)にワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイ・アット・ゲートウェイで行われ、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がピット戦略の利を得て今季2勝目を挙げた。

アンダーカット狙いの153周目のピットによって、パトリシオ・オワード(マクラーレンSP)を交わしてトップチェッカーを受けたニューガーデンはレース後、「これはピットの勝利だ。僕が勝ったわけじゃなく、チームの皆が勝ったんだ。彼らを本当に誇らしく思う」と語った。2位はオワード、3位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)と、シボレー勢が久方ぶりに上位を独占した。

表彰台に上がったジョセフ・ニューガーデン、パトリシオ・オワード、ウィル・パワー、2020年インディカー・シリーズ第9戦ゲートウェイ・レース2にて
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ポールポジションからスタートしたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、好ペースを刻んで後続とのギャップを作り、燃費セーブの走りで第1スティントを引っ張ったものの、周回遅れに前を塞がれる格好となり、後続のアンダーカットを許して後退した。

チームは第2スティント以降を短くして浮上のきっかけを探ったが、複数周遅れのザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポーツ)に幾度となく前を塞がれてしまい挽回叶わず、最終的には7番手を走行していたラスト4周にターン2でウォールと接触。事実上、この日唯一となるコーションの原因となった。幸いにもマシンは自走可能で完走を果たしたが、最多リードラップ66周を刻むペースがあったにも関わらず、9位に甘んじる悔しい結果に終わった。

パレード車両の1台がオイル漏れを起こしたため、この日のレースはオイル処理のために開始時刻が遅れる事となった。その影響もあってか、路面はダスティーでレーシングラインが1本しかなく、周回遅れをオーバーテイクすることすら不可能に近い展開となり、これがコース上でのアクションを制限し、膠着したレースを生み出した。

アンドレッティ・オートスポーツのザック・ビーチ、2020年インディカー・シリーズ第9戦ゲートウェイ・レース2にて
© Indycar / アンドレッティ・オートスポーツのザック・ビーチ

レースを振り返った佐藤琢磨は、誰とも競い合っていない単独走行中の周回遅れのマシンが他者のレースを妨害するのは「スポーツマンシップに悖る」として、アンドレッティ・オートスポーツとザック・ビーチの行為を批判した。

「レースをリードして多くの燃料をセーブしていましたが、周回遅れに前を塞がれる形となってしまいました。今日はオフラインのダストが多く、オーバーテイクするのが本当に難しかったです。チームは第1スティントを引っ張る方向でステイアウトを選択しましたが、後続にアンダーカットされてしまったようで、それでレースが終わってしまいました」

「シーケンスを外そうと試みてみましたが、その度にトラフィックに捕まってしまいました。前を塞いでいたマシンの中には4周遅れのクルマもいたのですが、チームから聞いた話だと、無線で”30号車を前に出すな”と言われていたようです。そんなものはレースとは言えませんし、スポーツマンシップに悖る行為です。全く満足できる事ではありませんが、残念ながら僕らができる事はありません」

チップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソン、2020年インディカー・シリーズ第9戦ゲートウェイ・レース2にて
© Indycar / チップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソン

5位フィニッシュしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は、最終的に6位フィニッシュしたコルトン・ハータを援護するために、アンドレッティ・オートスポーツがビーチを防護壁として使った可能性に言及しつつも、佐藤琢磨同様に「レースが台無しだ」としてビーチの走りを批判した。

「ザック・ピーチに完全に台無しにされてしまった」とディクソン。

「彼は何周も遅れているのに、(前を譲らず留まったために)僕ら全員がスピードを落とさざるを得なかった。(チームメイトの)ハータを手助けするためなのかどうかは知らないが、彼のせいで僕とサトーのレースは台無しだ」

「同じホンダチームにも関わらず、一体何を考えているのかさっぱりだよ。1位から4位までを他のマニュファクチャラー(シボレー)が独占していた状況なんだから、取るべきは他にあっただろうと思うね」

A.J.フォイト・エンタープライズのトニー・カナーン、2020年インディカー・シリーズ第9戦ゲートウェイ・レース2にて
© Indycar

2004年のシリーズチャンピオン、トニー・カナーンにとっては、この日のレースが今季の走り納めとなった。45歳のブラジル人ドライバーは、オーバル専任としてA.J.フォイト・エンタープライズと契約していた。ただ、現時点では来季以降の契約があるわけではないため、”今季の走り納め”のみならず、インディカー・シリーズでの引退レースとなる可能性がある。

シリーズ最多の318戦連続スタート記録を持つ鉄人カナーンは19位でクルマを降りると「チームの皆とA.J.とビッグマシンにもっと良い結果を与えられれば良かったんだけど、でもまぁ、それ以外に関しては楽しめたよ。良い終わり方だった。ファン、チーム、この旅に関わってくれた全ての人、そして家族に感謝したい。今年はこれで終わりだけど、これが完全な終わりじゃない事を願っている」と語った。

2020 IndyCar第9戦ゲートウェイ・レース2決勝順位結果

Pos. Start Driver Gap
1 2 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
–.—-
2 4 パトリシオ・オワード
McLaren SP
1.4356
3 3 ウィル・パワー
Team Penske
3.3580
4 18 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
4.4369
5 6 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
6.2173
6 10 コルトン・ハータ
Andretti
7.0022
7 9 フェリックス・ローゼンクビスト
Chip Ganassi
9.6894
8 15 コナー・デイリー
Ed Carpenter
9.9199
9 1 佐藤琢磨
RLL Racing
10.8130
10 16 サンティノ・フェルッチ
Dale Coyne
15.6741
11 12 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
16.6569
12 14 アレックス・パロウ
Dale Coyne
18.8580
13 5 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
20.0777
14 11 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
20.9892
15 20 マルコ・アンドレッティ
Andretti
1 lap
16 8 シモン・パジェノー
Team Penske
1 lap
17 13 オリバー・アスキュー
McLaren SP
1 lap
18 21 チャーリー・キンボール
A.J. Foyt
1 lap
19 19 トニー・カナーン
A.J. Foyt
1 lap
20 23 グレアム・レイホール
RLL Racing
2 lap
21 22 エド・カーペンター
Ed Carpenter
3 lap
22 17 ザック・ビーチ
Andretti
4 lap
23 7 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
10 lap