レッドブル解雇から1年、ホーナーがPE大手オークリー顧問に就任。F1復帰への布石か

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昨年レッドブル・レーシングを追われたクリスチャン・ホーナーが、累計調達額127億ユーロを数えるプライベートエクイティ、オークリー・キャピタルの顧問に就任した。同社が2026年5月21日(木)に発表した。

オークリー・キャピタルは、ヨーロッパ各地の非公開企業に投資するプライベート・エクイティだ。その投資対象は企業価値1億ユーロから10億ユーロ超に及ぶとされる。ホーナーは同社で、スポーツ分野への投資を助言する役割を担う。

「より健康的で活動的なライフスタイルを多くの人が受け入れるなか、スポーツビジネスは世界的な観客数および参加率の伸びという恩恵を受けている」とホーナーは語る。

「私は長年、ピーター[創業者のデュベンス氏]とオークリーのチームを知り、敬意を抱いてきた。野心的で創業者主導のビジネスを築く彼らの手法を、常に称賛してきた」

商業収益30億ドル超、ホーナーの実績

オークリー・キャピタルがホーナーに白羽の矢を立てた背景には、その傑出した実績がある。ホーナーは20年以上にわたり、レッドブル・レーシングのCEO兼チーム代表を務めた。

ホーナーが率いた2005年から2025年までの間に、レッドブルはセバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンという2人の王者を輩出。8回のドライバーズタイトル、6回のコンストラクターズタイトル、そして124回のレース勝利を挙げた。

その功績は、コース上の結果にとどまらない。ホーナーは在任中、レッドブルのパワーユニット部門であるレッドブル・パワートレインズと、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズの創設を主導した。

さらに、世界的なパートナーシップやスポンサーシップを通じて、30億ドル(約4,770億円)を超える商業収益を生み出した。

オークリー・キャピタルの創業者でマネージングパートナーのピーター・デュベンス氏は、レッドブルを世界最高峰の4輪モータースポーツ界を支配する勢力の一つへと変えたホーナーの手腕を評価する。その実績と専門性、そして商業的な直感は、同社のスポーツ事業の拡大にとって計り知れない価値を持つという。

解任から1年、いまだ見えぬF1への帰り道

2025年7月にレッドブルのチーム代表兼CEOを解任されてから、まもなく1年が経とうとしているが、ホーナーは未だモータースポーツ界における次のキャリアを明らかにしていない。

チームを追われて以降、ホーナーはF1復帰に向け、様々なルートを模索してきた。その一つが、投資家グループと組んでアルピーヌの株式24%を買収する計画だ。

ただし、オトロ・キャピタルが率いる投資家グループが保有するこの持ち分をめぐっては、メルセデスをはじめとする複数の陣営が関心を寄せており、実現の見通しは決して明るくはない。

さらに、中国EV大手BYDを後ろ盾とする、12番目のF1チームとしての新たな参入構想にもホーナーの名が取り沙汰されている。

だが、F1は来季以降に向けた大がかりなレギュレーション変更を模索中であり、加えて2030年、遅くとも2031年にはV8エンジンへの回帰が実現する可能性もあり、BYDとしても検討材料が不安定という事情がある。

顧問就任に見る2つのシナリオ

オークリー・キャピタルの顧問就任という今回の動きについては、2つの異なる観点から見ることができる。

一つは、これをF1復帰の一時的な断念と捉える見方だ。ヨットやパデル、ゴルフといったブランドへの投資助言という役割は、復帰への扉が当面固く閉ざされていることをホーナー自身が悟った証ではないか、と見ることができる。

一方で、これを布石と捉えることも可能だろう。オークリー・キャピタルの資金力を、F1への参入に活用するための足がかりとするのではないか、という見解だ。

ただし、プライベート・エクイティ(PE)ファンドは通常、単一案件に投じる比率に上限を設けているとされ、F1チームを丸ごと買収するのは現実的ではないとみられる。

その点、オークリー本来の投資領域ではないものの、アルピーヌの少数株を取得することは、ファンドの分散原則を保ちながらF1への投資に踏み込むための一手として、より理にかなう。評価額の上昇による値上がり益を狙うというPEの投資論理にも合致するためだ。

もっとも、現時点でオークリー・キャピタルがF1への参入を具体的に検討しているという情報は何もない。そして無論、これらのいずれでもない可能性も十分にあり得る。

投資の世界に足を踏み入れたホーナーは、その経験と人脈をどこに向けるのか。F1への復帰を見据えた動きなのか、それとも新たな道への転身なのだろうか。