
ホンダ・スペック2は期待外れだったのか? ダブルSQ1敗退の裏で確認された「性能向上」と“3つの朗報”
ホンダのスペック2パワーユニット(PU)が初投入された2026年F1第12戦オランダGPでは、初日のスプリント予選でランス・ストロールが19番手、フェルナンド・アロンソが22番手に終わり、2台そろってSQ1敗退を喫した。
前戦ハンガリーGPでは大規模な車体側のアップグレードにより中団争いへの復帰を果たし、新型PUの投入によるさらなる前進が期待されていただけに、この結果は多くのファンを落胆させたことだろう。
だが、スプリント予選の結果だけでスペック2を「失敗」と断ずるのは早い。
性能向上が確認されたスペック2
ホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、初日の走行を通して「スペック1からのパフォーマンス向上を確認することができました」と説明する。
その一方で、新たな燃焼特性に対応する形でのドライバビリティの最適化は不十分だった。現状のスペック2は出力性能では前進を見せたものの、それをドライバーが扱いやすい状態に仕上げ切れていなかった可能性がある。
折原TGMは「スプリント予選では、特にドライバビリティに関するデータ設定について、まだ改善すべき点があることも分かりました」と認める。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
アストンマーティン・ホンダのガレージでエンジニアと話す折原伸太郎(HRCトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア)、2026年8月21日(金) F1オランダGPプラクティス前(ザントフォールト・サーキット)
制御面に課題の一方で“3つの朗報”
スプリント予選で両ドライバーはPUのドライバビリティに苦しんだ。ブレーキング時の制御に「未成熟」な部分があり、不可解な挙動に見舞われたという。
さらに、アロンソ側はリアのストレートライン・モード(SM)が作動せず、トップスピードが伸びなかった。加えてセッション中、アロンソは無線で振動を訴えていた。ただし、これはウイングが開かずリア側の荷重が減らなかったため、マシンの底部が路面を擦った結果であった可能性もある。
一方、前向きな点もある。折原TGMによれば、FP1からスプリント予選まで、2台が信頼性の問題を抱えることはなかった。さらにシャシーとの統合も「良好」だったという。
また、2台ともが止まることなく走行をこなしたことで、PUの最適化に欠かせない貴重なデータを十分に収集することができた点もポジティブな材料と言える。
「夜通し」で進める最適化作業
ホンダはスペック2投入以前から、その燃焼特性がスペック1とは異なるため、ドライバビリティについて改めて最適化する必要があることを認識していた。
ドライバビリティの改善には、点火タイミング、ラムダ(空燃比)、燃料噴射の制御、さらにはエネルギー・マネジメントのマッピングなど、ソフトウエアを細かく調整する必要があり、決して容易に修正できるものではないが、栃木県の開発拠点では、2日目に向けてすでにそのための作業が夜通しで進められている。
折原TGMは「今夜から明日にかけてHRC-Sakuraでデータを解析し、エンジンベンチでのテストを行いながら、週末の残りの走行に向けてパラメーターを最適化していきます」と説明した。
現時点では、ホンダのスペック2が期待外れだったとは言い切れない。ただし、アロンソとは異なりSMにトラブルを抱えていたわけでないにもかかわらず、ストロールがSQ1を突破できなかった点には些か注意が必要だろう。
2026年F1オランダGPのスプリント予選では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が0.041秒差でランド・ノリス(マクラーレン)を抑えてポールポジションを獲得した。復帰戦の角田裕毅(レーシング・ブルズ)は12番手をマークした。
スプリントは日本時間8月22日(土)19時から、公式予選は同23時から1時間に渡ってザントフォールト・サーキットで開催される。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。