トロロッソ・ホンダのモーターホーム
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トロロッソ・ホンダ、打倒マクラーレンに絶対的自信。4番手を目標にエンジン性能を段階的に向上、その計画とは?

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トロロッソ・ホンダは今年、エンジンパフォーマンスを段階的に向上させる事で、シーズン終盤までに中団勢最上位の成績を収める事を目標としている。今季もまたメルセデス、フェラーリ、レッドブルの地位は盤石と考えられており、中団勢トップはマクラーレンやルノーを打ち負かす4番手を意味している。

18年のホンダPUアップデート計画

開幕に先立って3月17日に六本木で行われたイベント「Red Bull Toro Rosso Honda DAY in TOKYO」に登壇した山本雅史モータースポーツ部長は、年間3基に厳格化されるエンジン交換制限に触れた上で次のように述べ、今季のエンジンアップデート計画の一部を明らかにした。

「3基の載せ替えのタイミング全てにおいてアップデートと信頼性を高める目標を立てており、現在これをトロ・ロッソと共有し進めています」

ホンダMS本部長を務める山本雅史
© HONDA、ホンダMS本部長を務める山本雅史

昨年までは年間4基までのエンジン交換が認められていたが、’18年シーズンはこれが3基に制限される。改良版エンジンの投入は新たなコンポーネントの使用を意味するため、性能向上を目的とした闇雲なアップデートは難しい。今季カレンダーには全21戦が予定されており、昨年の20戦を上回るイベントをより少ないエンジンで乗り切る事が求められる。

年間3基という事はシーズン中に許されるエンジン交換の回数は2回。走行マイレージの蓄積による信頼性とパワーの低下及び、パワーセンシティビティ要求の激しいサーキット、の2点から推測すると、第7戦カナダGP、第13戦ベルギーGP、第17戦日本GP辺りがアップデートの一つの目安と考えられる。

マクラーレンを気にも留めないトスト

フランツ・トストとブレンドン・ハートレー、ヘルムート・マルコ
© Honda、フランツ・トストとブレンドン・ハートレー、ヘルムート・マルコ

チーム代表を務めるフランツ・トストは先日Sky Sportsに対して、トロ・ロッソはホンダの元パートナーであるマクラーレンよりも上位でシーズンを締め括れるだろうとの見通しを示している。その言葉尻はかなり確信に満ちており、トロ・ロッソとホンダとの間で綿密かつ着実な道筋が描かれている事を伺わせる。

「ホンダが極めて競争力のあるパッケージを供給してくれると確信している。我々は年間を通して追い上げていき、シーズン終了までに非常に速いマシンを手に入れる事になるだろう。目標はミッドフィールドの先頭を走る事だ」

「マクラーレンの事は気にしていないよ。シーズン終わりまでに彼らよりも競争力のあるマシンを用意できる自信があるからね」

トロ・ロッソはマクラーレン等の大規模チームと比べて少ない予算で運営されているため、シーズン中盤から終盤にかけての開発競争で敗れ去り、年間を通して成績が下降の一途を辿る傾向がある。それだけに、先のトストの発言は、STR13の伸びしろとホンダが計画しているアップデートに相当の自信を持っている事の証と言える。

アップデートによる馬力向上の見通し

ホンダF1エンジン
© HONDA

トストが主張する”極めて競争力のあるパッケージ”とは、一体どの程度の性能・馬力を意味するのだろうか? 具体的な言及はなかったものの、少なくともルノーを超えるレベルである事は間違いないと言えよう。

各メーカーのエンジン馬力を知る術はないものの、独メディアが公表したところによれば、2017年末の時点でメルセデスは949馬力、フェラーリは934馬力、ルノー907馬力、ホンダは881馬力を誇っていたとされる。だが、トロ・ロッソ首脳陣はホンダとルノーとの差は報道よりも小さいと主張、900馬力の大台に乗っている可能性を仄めかした。

ホンダのエンジン出力を知るピエール・ガスリーは先述の六本木のイベントに登場した際に、昨年参戦したスーパーフォーミュラとF1との違いについて質問され、「パワーの面で言うと、F1は今や900、900…950馬力に近づいてる」と何度か言い直すような形で返答。具体的な数値の出処は不明であり、憶測を呼びかねない示唆的とも受け取れる発言を残した。

今季のホンダエンジン「RA618H」は基本コンセプトを継続した昨季型の進化版であり、性能よりも信頼性の向上レベルが大きいエンジンと考えられている。コンセプトを継続したままで、トストが確信している大幅なパフォーマンス向上が可能であるかについては疑問の余地があり、アップデート計画には新型エンジンの投入が検討されている可能性も捨てきれない。

レギュレーションに大きな変化がなく、大規模な地殻変動が期待し難い2018年シーズンではあるが、シーズン終盤にブレンドン・ハートレーとピエール・ガスリーが二人揃ってダブル入賞するシーンが見られる事を期待したい。