対照的な信頼性のトロロッソ・ホンダとマクラーレン…決別の判断に疑問呈する英国人元F1技術者

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元F1テクニカル・ディレクターのマイク・ガスコインは、シーズン前テストにおけるホンダとマクラーレンの対照的な結果に注目している。英国出身のガスコインは、エイドリアン・ニューウェイと並びその才能を高く評価されたデザイナーであり、ジョーダン在籍時代にホンダと仕事をしていた。

信頼性不足を訴えホンダとのパートナー契約解消を実現させたマクラーレンは今年、曰く「チャンピオンエンジン」のルノー製パワーユニットを手に入れ希望を胸にバルセロナへ向かった。だが、そこに待ち受けていたのは昨年の悪夢の再来であった。

マクラーレン期待のMCL33は、テスト初日のホイールナットのトラブルから始まり、冷却性能、オイルリークと立て続けに不具合を生じさせた。結果、トロロッソ・ホンダSTR13が抜群の信頼性を見せ全チーム中3番目に多い822周を走り込んだのに対し、マクラーレンは最下位の619周に留まり、両者の差は203周にも広がった。

「テストを終えて思い浮かぶ最大の疑問は、ホンダが突如として信頼性を発揮した事は、マクラーレンにとって頭痛の種となったかどうかという事だ。もしホンダが去年2つのチームを持っていたとしたら、問題は早期に解決していただろうか?」

スカイスポーツに出演したガスコインはこのように述べ、マクラーレンの立場と首脳陣の判断の妥当性を問うた。マクラーレン・ホンダは昨年の冬季テストで、ホンダ製エンジンとマクラーレン製ギアボックスの組み合わせに由来する共振の問題を抱え信頼性不足を露呈。これが直接の引き金となって別の道を歩むことになった。

マクラーレンは当時、ホンダの2チーム目のPU供給に関して拒否権を有していた。ホンダには供給交渉権があったものの、マクラーレンが首を縦に振らない限り複数チームへの供給は実現しない契約となっていた。ルノーを批判しホンダエンジンを求めたレッドブルに対して、当時のCEOロン・デニスは拒否権を発動しこれを拒んだ。

ガスコインの発言を受けSky F1のテッド・クラビッツは、ホンダがキャッチアップするのはまだ少しばかり時間がかかるとの予想した上で、新生トロロッソ・ホンダを次のように分析した。

「ホンダの今季エンジンは新しいものではなく、昨年の進化版だ。信頼性は向上している。トロ・ロッソにとっての最大の利点は、ワークスエンジンを手に入れたという事だ。彼らにとっては初めての事であり、ホンダエンジンの将来の姿に影響を与える事ができる」

「一方で、ホンダはトロ・ロッソとの提携によって、元ミナルディチームの堅実なエンジニアリングとリラックスした環境を手に入れた。恐らく、マクラーレンとは複雑で込み入った関係だったと思われるが、それ以上という事はないだろう。苦痛と困難から開放されたより良い環境だと思う」