ホンダF1、”GP2発言”のアロンソ起用に異存なし? ストロールの行方は…ドライバー決定巡りアストンマーチンへ「インプット」
ホンダはアストンマーチンとの新たなF1への挑戦が始まる2026年に向けて、「GP2エンジン」発言に代表される辛辣な批判を口にしてきたフェルナンド・アロンソと再び仕事を共にする事に異存はないと説明した。
今年7月に42歳を迎えるアロンソとアストンマーチンとの現行契約は2026年を前に満了を迎えるが、度々、長期的な参戦継続に意欲を示しており、ホンダ製F1パワーユニット(PU)が搭載される2026年以降もレースを継続する可能性がある。
マクラーレン供給時代のホンダ製PUは信頼性、パフォーマンス共に低く、当時ホンダを背負ってステアリングを握っていたアロンソは2015年の鈴鹿日本グランプリの際に無線で「GP2エンジン」と罵るなど、ホンダに対して厳しい発言を繰り返してきた。
アロンソとの再会の可能性について問われたHRC(株式会社ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長は、「本当に高いレベルの天才的な選手」であり「リスペクトしている」とした上で、ドライバー選択の権利はアストンマーチン側にあると強調した。
「チーム運営に全く関わらないということではありませんが、今までのスタンス通り、最終的な決定権はチーム側が持つということで、我々も当然、インプットはさせていただきながら、一緒にチーム運営ができればと考えています」と渡辺社長は語った。
また、ホンダの三部敏宏社長は「過去の話は過去の話」であるとして、ドライバーの決定に関しては「チームに任せたい」と語った。
アストンマーチンのグループCEOを務めるマーティン・ウィットマーシュは、ホンダとの契約交渉の中でアロンソが話題に上がる事はなかったとした上で「彼はホンダがやっていることを理解しているし、リスペクトしている」と述べ、次のように続けた。
「2026年までにはフェルナンドの将来について、きっと話し合うことになるだろう。彼が今と同じように健康で、競争力のあるドライバーであれば素晴らしい話だ」
ドライバー決定に干渉しないとしつつも渡辺社長が言及したように、ホンダ側から提案や意見が出されることは疑いない。
アロンソの行方と同じかそれ以上に気になるのは、アストンマーチン会長、ローレンスを父に持つランス・ストロールだ。F1ドライバーとしてキャリアを重ねて一定の評価を得ているものの、決してグリッド最高水準の実力を証明しているわけではない。
ミッドフィールダーのドライバーとしては適当かもしれないが、少なくともチャンピオン争いを目指すトップチームのそれでない事は確かだ。
ホンダとのパートナーシップ締結により、アストンマーチンのシート価値は高騰する事が予想される。シャルル・ルクレール(フェラーリ)やランド・ノリス(マクラーレン)を始めとして、次の王者足る才能を持つドライバーは”勝てるシート”を求めている。
ホンダが掲げるのは「チャンピオンの獲得」だ。最高のドライバーラインナップなくしてそれは叶わない。
ストロールがその器にないと判断した場合、ホンダはアストンマーチンに進言するだろう。もしそうなればローレンスとチームはこれをどう受け入れ、どのようにドライバーを決定するのだろうか。実に興味深い。