カタロニア・サーキットのピットレーンを走行するハースのミック・シューマッハ、2022年2月24日F1バルセロナテストにて
Courtesy Of Haas

ハースF1、ウクライナ侵攻を受け「VF-22」からロシアカラーとウラルカリ社を撤去

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ロシア軍のウクライナ侵攻を経て、ハースF1チームはカタロニア・サーキットで行われているF1バルセロナテスト最終3日目に向けて「VF-22」のカラーリングを変更し、赤、白、青のロシアカラーと冠スポンサーであるウラルカリのロゴを撤去する。

ドライバーラインナップに変更はなく、25日はロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンが予定通り午前のセッションに参加し、チームメイトのミック・シューマッハが午後に作業を担当する。

ロシア軍が24日、ウクライナへの軍事侵攻を開始した事を受け、G7は直ちにロシアを強く非難すると共に、追加の経済・金融制裁を科す方針を表明。また、北大西洋条約機構(NATO)は「攻撃を最も強い言葉で非難する。完全に不当で理不尽だ」との声明を発表して軍事行動の即時停止を求める等、緊張が高まっている。

チームのタイトルスポンサーを務めるロシア・ベレズニキに本拠地を置くウラルカリ社は、マゼピンの父ドミトリーが筆頭株主の化学肥料企業で、チームは今季型F1マシン「VF-22」のカラーリングにロシア国旗のトリコロールを採用していた。

ハースによるとチームはテスト3日目に向けて「ウラルカリのブランドを取り除いた真っ白なカラーリングのVF-22」を用意する。理由については明かしておらず、また「チームパートナー契約については、現時点ではコメントを差し控える」としているものの、軍事侵攻を受けての措置だと考えられる。

ハースが本拠を構えるアメリカのバイデン大統領は22日、ロシアの政府系開発対外経済銀行(VEB)とプロムスビャジバンク(PSB)の2つの主要金融機関の他、特権階級層やその親族らを対象する制裁の発動を表明しており、ハースとウラルカリとの取引に何らかの影響が及んだ可能性もある。

なお、ロシア国営放送、TASS通信が報じたところによると、木曜日にモスクワでプーチン大統領と会談した37人のビジネスマンの中にドミトリーの姿があった事が確認されている。ドミトリーはロシア連邦商工会議所の会長を務める他、RSPP (ロシア産業企業家同盟)の局員でもあり、ロシア政府から軍メダルを授与されてる人物でもある。

チームのプレスリリースには既にウラルカリのロゴはなく、またチーム名も「ウラルカリ・ハースF1チーム」ではなく「ハースF1チーム」と変更されており、チームのSNSアカウントも同様の変更が加えられている。

またバルセロナにあるチームのモーターホームでも、夜にも関わらずウラルカリのロゴを撤去する作業が続けられている。

F1チームはバルセロナ現地24日20時より行われるステファノ・ドメニカリCEOとの会合の中で、今回の軍事侵攻並びに9月に予定されているソチ・オートドームでのロシアGPの開催に関して議論を行う。

なお、テスト2日目のランチブレイクに行われたプレスカンファレンスでは、セバスチャン・ベッテル(Aston Martin)がロシアGPの開催中止を強く求める場面があった。