グロージャン、衝撃事故から7ヶ月…”粋な”メルセデスとの特別テストでF1復帰
昨年のバーレーンGPでバリアを突き破って炎上するという衝撃の事故に見舞われた元F1ドライバーのロマン・グロージャンが、メルセデスの粋な計らいを受け、1回限りの特別テストで再びF1マシンをドライブする機会を得た。
怪我で残り2戦の欠場を余儀なくされ、予定外の形でF1キャリアに終止符を打つ事となったグロージャンが、最後にもう一度だけF1マシンをドライブして、きちんとキャリアを終わらせたいとの意向を口にしたところ、V6ハイブリッド時代の王者メルセデスのトト・ウォルフが手を差し伸べた。
あの衝撃的な事故から7か月後の6月29日、グロージャンはルイス・ハミルトンを6度目のタイトルに導いた2019年のチャンピオンマシン、メルセデスW10をポール・リカール・サーキットでドライブする。また、6月27日に開催されるF1フランスGPでもW10でデモ走行を行う。
3月30日に英国ブラックリーのファクトリーでシート合わせとシミュレーターセッションを終えたグロージャンは「再びF1マシンに乗れる事が決まって本当に嬉しいよ!」と語った。
「僕にとって特別な機会になるだろうし、世界選手権で優勝したメルセデスをドライブできるなんて他では得られない経験になるはずだ」
「このチャンスを与えてくれたメルセデスF1とトトに本当に感謝している。このチャンスを最初に耳にしたのはバーレーンの病院のベッドの中だった。トトが前向きな意向を示したっていうニュースをメディアで読んで本当に元気付けられた」
「今年のフランスGPでメルセデスを走らせられるなんて本当に特別な事だよ。ポール・リカールは僕のホームコースだし、昨年はCOVID-19の影響でグランプリが中止になってしまったしね。今からその日が待ち遠しい」
トト・ウォルフは「あの事故が彼のF1マシンでの最後の瞬間になってほしくなかった」と述べ、グロージャンがそれに相応しい形でF1キャリアを終えられるようにとの想いから、今回のテストをオファーするに至ったと説明した。
「ロマンの事は、彼がF3でチャンピオンになった頃から知っている。彼は長い間、F1で成功を収めてきた」とトト・ウォルフは語った。
「我々は彼のF1での最後の思い出がチャンピオンマシンでのドライブになって欲しいと思った。ロマンがW10にどのようなフィードバックをするのか楽しみにしている」
「ロマンの事故は、このスポーツの危険性を改めて思い出させるものであったが、同時に、F1が安全性向上のために長年に渡って取り組んできた多大な努力の成果が現れたものとも言える。F1コミュニティはロマンの復帰を祝福してくれる事だろう」
ルイス・ハミルトンもまた、グロージャンの復帰を歓迎した。
「事故が起きた時、僕らはみんなで彼のために祈っていた。順調に回復している姿を見て本当に安心したよ。彼とフランスで再会するのを楽しみにしている」
グロージャンはF1を去った今年、デイル・コイン・レーシングと契約して米国のオープン・ホイールレース、インディカー・シリーズに参戦している。