4億円超え!ゴードン・マレー、故ラウダの名を冠したスーパーカー「T.50s」を発表…歴代ブラバムF1マシンの空力思想引き継ぐ
アイルトン・セナをチャンピオンに輝いたマクラーレンMP4/4など、数々の名車を作り出してきた伝説的F1デザイナー、ゴードン・マレー率いるゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)は2月22日(月)、新型スーパーカー「T.50s」を発表した。価格は310万ポンド(約4億5800万円)で25台の限定生産となる。
これは限定100台での発売が予定されている「T.50」の高性能サーキット仕様バージョンで、2019年に亡くなった3度のF1王者、ニキ・ラウダを讃えて「T.50s ニキ・ラウダ(T.50s Niki Lauda)」と名付けられた。この日はラウダ72歳の誕生日となるはずであった。
Courtesy Of Gordon Murray Automotive
ラウダは1978年と79年にゴードン・マレー設計のブラバムでF1に参戦。通称ファンカーと呼ばれる78年の「BT46B」には車体後方に大型のファンが配置され、フロア下の気流を後方に吸い出すことで強力なダウンフォースを発生させた。
BT46Bの初陣となったスウェーデンGPでラウダは2位リカルド・パトレーゼに34秒差をつけて優勝するも、ライバルチームからの抗議を経て僅か1レースで使用禁止処分が下ったため、BT46Bは勝率100%という記録と共にF1から姿を消した。
今回のネーミングはラウダの家族の同意を得たもので、GMAは「故人に対するオマージュ」だと説明した。
「T.50」というネーミングは50年に渡るゴードン・マレーのキャリア年数と50作品目のデザインを祝う意味で付けられたものであり、ドライバーズシートは前方中央に配され、後方に2名分のシートが用意される特殊なレイアウトとなっている。
特別開発された軽量カーボンファイバー製モノコックを備える「T.50s」は重量僅か852kgと超軽量で、711馬力/11,500rpmのコスワース製3.9リッターV12エンジンを搭載し、これに新設計のXtrac製6速パドルシフトギアボックスを組み合わせる。
車体後方には「BT46B」を彷彿とさせる400mmのリアマウントファンを搭載。幅1758mmの新型リアマウント・デルタウィングは1983年のブラバムF1マシン「BT52」のフロントウィングに触発されたもので、先進のエアロダイナミクスは最大1500kgのダウンフォースを発生させサーキットでのパフォーマンスを最大化する。最高速度は約337km/hと発表された。
ゴードン・マレーは「T.50s」について、史上最高のドライビングエクスペリエンスを可能とするマシンを目指して開発したとして「究極のラップタイムを達成すること」や「オーバーダウンフォースの宇宙船を作ること」に興味はなかったと説明。更に「自然吸気のLMP1マシンよりも優れたパワーウェイトレシオ(835馬力/トン)を持つこのマシンは軽量でありながらも灼熱の如き速さを持ち、F1マシンのように素早く方向を変える事ができるだろう」と付け加えた。
実際、試験段階では1,900kgのダウンフォースを達成していたものの、ドライバーが扱いやすいようにと、敢えて1,500kgにまで削られたという。